米Forrester Research社は,「CDやDVDなどのハード・メディアの売り上げが急激に落ち込むだろう」とする音楽と映画の配信に関する調査結果を米国時間9月2日に発表した。調査結果によれば,米国人の20%が音楽をダウンロードした経験があり,その半数はCDの購入が減少したと回答している。調査は,成人4782名と12~22歳の若者1170名を対象に行った。

 同調査によれば,インターネットを介したオーディオとビデオのファイル共有という手段が消費者間で好まれるため,従来のメディア配信方法が大きく移行する。それに伴ってエンターテイメント業界における支配力も大きく移行するという。

 調査の結果,2008年までに,音楽販売の33%がダウンロードからの売り上げとなり,CDの売り上げは1999年の全盛期から30%落ち込むという。オンデマンドの映画配信からの売り上げは,2005年までに14億ドルに達し,DVDとテープの売り上げは8%低下する。

 「物理的なメディアからの移行は,音楽業界の下降に歯止めをかけるとともに映画業界には新しい収益源を提供する。しかし,Tower RecordsやBlockbusterといった小売店には多大な損害をもたらす。その結果,エンターテイメント業界における支配力が大きく移行するのを目の当たりにするだろう」(同社主席アナリストのJosh Bernoff氏)

 若者の中で5人に1人は,映画をダウンロードした経験があるという。ケーブルのビデオ・オンデマンドとその他のオンデマンド映画配信チャネルは,2005年までに映画レンタル事業の15%に迫ると予想される。

 「短期的な海賊版との戦いに注力するエンターテイメント業界の幹部社員は,長期的な影響力を見失っている。オンデマンド・サービスは,エンターテイメントにおける将来の配信方法となり,CD,DVD,その他の物理的なメディアは時代遅れになるだろう」(同氏)

 音楽業界は,オンデマンドの音楽配信サービスにより復活が見込まれる。違法のファイル共有を撃退する努力として,音楽と映画業界は,正規のダウンロード・サービスとストリーミング・サービスを開始している。9カ月以内に,Apple iTunes Music Store,MusicMatchなど,Windowsベースの音楽配信サービスが数々登場する。オンラインからの音楽配信サービスにより,2004年には,音楽の売上高は5億ドル以上増加するという。

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