米Forrester Researchが米国時間9月2日,ビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)市場に関する調査結果を発表した。それによると,同市場は2008年に1460億ドル規模に達する。ただし,顧客の複雑な要求に1社で対応できるベンダーは現れず,市場は多くのベンダーがひしめく分散した状態となる。

 調査は,企業の管理職やIT責任者82人を対象にしたアンケートと,BPOを早期導入した企業の担当者12人に行ったインタビューをもとに分析した。BPOの導入は大幅なコスト削減につながる可能性があるが,多くの場合,ベンダーの誇大宣伝に過ぎないという。企業は,柔軟性に欠ける契約内容,困難なベンダー管理,性能を測定する方法の欠如といった問題を経験している。

 企業が最も関心を抱いているのは,人事,顧客リソース,顧客サービス,会計のアウトソーシングだ。企業の52%は,2004年に100万ドル以上をBPOにつぎ込む計画である。

 なおForrester社は,今後のBPO市場を以下の4分野に大別している。

・クレジット・カードや株取引の処理など,単純だが大量のトランザクションを扱う業務。この分野は2008年までに580億ドル規模に成長し,BPO市場の最大分野となる。ACS社,米Fidelity Investments,米State Street,米Unisysなどがけん引する。

・会計,管理,間接調達,人事など,単純な大量トランザクションよりも従業員の知識を必要とする業務。2008年までに570億ドル規模に成長する。ACS社やMellon HR Solutions社などが,この分野に事業を広げるだろう。大手ITシステム・インテグレータが,金融や会計などで競合する。

・ポリシー管理,クレーム処理,ローン申請など,大量の垂直プロセスを手がける業務。2008年に60億ドルの売上高を創出する。この分野では,海外の(オフショア)ITプロバイダと,米Accentureや米CSCといった大手米国プロバイダがしれつな競争を繰り広げる。

・環境データのレポート,化学処理の監視といった専門的で複雑な業務。2006年は50億ドル規模だが,顧客の信頼が得られれば,2008年には240億ドルに急成長する。この分野に特化しているベンダーには,Ingenero社やRMSI社などがある。

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