米In-Stat/MDRは,家庭向けのEFM(Ethernet in the First Mile)に関する調査結果を米国時間8月27日に発表した。それによると,2002年に全世界で210万人だった加入者が2007年には2390万人に増えるという。同社は,「加入者の大半がアジア太平洋地域の居住者」と予測する。

 「2000年末以来,家庭向けの加入者アクセス・ネットワークでEthernetの利用が増えている。比較的低コスト,簡便さ,柔軟性,普及していること,広帯域というEthernetの特徴が利用象の理由だ」(同社)

 EFMは,サービス・プロバイダの中央局と加入者とのあいだを銅線や光ファイバで接続してブロードバンド・サービスを提供する際に,Ethernetプロトコルを使用する技術。現在IEEEの802.3ah Task Forceが標準化作業を進めている。それと並行する形で,各国の半導体サプライヤ,装置ベンダー,サービス・プロバイダなど24社からなる業界団体Ethernet in the First Mile Alliance(EFMA)が,同技術の普及に向けた活動を展開中である。

 In-Stat/MDR社によるそのほかの調査結果は以下の通り。

・2002年において,銅線を使ったEFMは全体の86%を占めていた。2007年までの期間中,銅線の割合は高いままだが,光ファイバを使う家庭向けEFM(FTTH)は29%に増える。

・現在のところ,家庭向けEFMのほとんどはアジア太平洋地域で導入されており,この状態が今後5年のあいだ続く。同社はその理由として,「集合住宅用のMulti-Dwelling Unit(MDU)が非常に多いこと」「ローカル・ループの長さが短いこと」「人件費が安いこと」「適切な政府援助があること」を挙げている。さらに中国固有の事情として「新たなインフラを展開する必要」があるという。

・欧州は,2番目に大きな規模のEFM市場になる。今後5年間では,スカンジナビア地域とイタリアで特に加入者数が増える。米国での普及は限定的で,政府機関/公共インフラ/不動産開発/独立系電話会社といった主流以外のサービス・プロバイダによる導入とみる。

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