米Siebel Systemsは,同社の株主であるTeachers' Retirement System of Louisiana(TRSL)が2002年9月に起こした株主代表訴訟の和解を米国時間8月26日に発表した。また,新しい企業の統治機構の構想も明らかにした。和解の一環として,同社はTRSLによる最高90万ドルまでの裁判費用の補償請求に異論しないことで合意している。この和解は,裁判所の認可を受ける必要がある。

 TRSLは,同社CEOのTom Siebel氏に対する余剰報酬を認めることで,同社の役員会が,委託者の義務を怠ったと主張して訴訟を起こしていた。同氏に認められたストック・オプションの株式評価が不正確に行なわれ,公正な市場価格より低く提供されたと主張していた。

 同社が同日明らかにした新しい企業の統治機構には,情報公開ポリシー,透過的な会計実務,強力な独立した取締役員会,倫理,法的基準などが含まれる。

 新しい構想のもとに,同社は,役員会に新しいメンバーを加えるとともに,新しい役員選出に関してより細かい基準を設けて公開する。新しい役員は,次回の年次株主総会にて指名される。また,外部役員だけが報酬委員会にたずさわるように同委員会を拡大する。幹部社員,役員,従業員に与える報酬を決定する際の基準を株主に明らかにするとともに,役員,給料がもっとも高い5人の従業員に認められるオプションの価値を毎年公開する。役員への報酬は,株主に事前に明らかにされたレベル内に抑えるなどの内容が盛り込まれている。

 同社株主は,同日発表された措置に強い賛成を表明している。TRSLの総合委員Tommy Reeves氏は,「同社と役員会が,株主の利益を保護する上で,企業の統治構造の重要性を理解してくれたことを非常に喜ばしく思う」とコメントしている。

 同社は1月に,CEOのTom Siebel氏に認められたストック・オプションをキャンセルした。キャンセルされたおよそ2600万株のストック・オプションは,5610万ドルの市場価値があった。同社は,これを他の株主に対する株価の希薄化を懸念しての措置,と説明しており,訴訟には関係ないとコメントしている。

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