米Amazon.comは,オンライン事業者などが同社の名をかたった偽装電子メールを送信したとして,11件の訴訟を米国とカナダで起こした。Amazon.com社が米国時間8月25日に明らかにしたもの。同社は偽装電子メール送信の差し止めと数百万ドルの損害賠償を求めている。

 11件の訴訟の被告には,米E.B.A. Wholesale(Cyebye.com),米Rockin Time Holdings,米Royal Responder,米Cyberpower,カナダの1505820 Ontario,米Matrix Consulting Groupをはじめ,フロリダ州とカリフォルニア州の居住者などが含まれる。

 またAmazon.com社によると,ニューヨーク州司法局が,Amazon.com社の訴訟で被告となっているCyebye.com社とのあいだで,民事詐欺に関する和解が成立したことを明らかにしている。調査にはAmazon.com社も協力したという。和解条件では,Cyebye.com社に対し,承認を取り付けない限り他社の名前をマーケティングに使用することを禁じている。また今後2年間に送信するすべてのマーケティング電子メールを記録し,同司法局に提出するよう義務づけるほか,1万ドルの罰金をニューヨーク州に支払うことを命じている。

 Cyebye社については,Amazon.com社との間でも基本的和解に達している。Cyebye社は,Amazon.com社が特定の承認を与えない限り,Amazon.com社の名前をいかなる電子メールにも用いてはならない。また和解条件には,罰金の支払いも含まれる。

 今回の訴訟は,「スプーフィング」と呼ばれる“なりすまし”の撲滅を図る取り組みの一環である。スプーフィングとは,実際の身元を隠し,他社の名前をかたってマーケティング電子メールを送信するオンライン詐欺の1つ。「これは単なるスパム・メールではなく,消費者を欺く不正行為だ。当社が起こした訴訟は,スプーフィングに関わっているすべての者への強いメッセージとなるだろう」(Amazon.com社副社長のDavid Zapolsky氏)

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