米Gartnerは,世界DRAM市場に関する調査結果を米国時間8月19日,発表した。2年間にわたる景気後退と莫大な損失を経て,同市場はこれから回復に向かう。2003年第3四半期における世界のDRAM売上高は,前年同期比37.8%増の51億ドルに達する見通しだ。また,2003年通期の売上高は前年比21.8%増の189億ドルにのぼるとみる。

 ただし,Gartner社半導体調査グループ部門主席アナリストのAndrew Norwood氏によれば,DRAM業界の回復は,需要の増加によるものではなく,供給不足によるものだという。「DRAMメーカーが欲張って生産を拡大すると,供給過多となって価格が下落し,すぐに逆戻りしてしまうだろう」(Norwood氏)

 最近,大手DRAMメーカーがDRAM供給計画の中止を発表しているが,これにより供給不足が起こり,(価格が上昇して)DRAMメーカーの収益が増えるだろう。これは,韓国のSamsung Electronics,米Micron Technology,ドイツのInfineon Technologiesといった大手DRAMメーカーにとっては朗報だが,韓国のHynix Semiconductorなど業績が芳しくないメーカーにとっては死活問題だ。またパソコン・メーカーも,主要部品の価格上昇で厳しい状況に立たされる可能性がある。

 DRAMの平均販売価格は2003年第3四半期に20.5%上昇し,256Mバイトあたり5ドル55セントになる見通し。NAND型フラッシュに期待を寄せている一部のDRAMメーカーは,DRAMの生産を抑える予定だという。

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