米META Groupは,エネルギー公益事業のIT支出に関する調査結果を米国時間8月19日,発表した。2003年の同業界のIT支出は前年に比べて13%減少しているものの,一部の分野では増加している。

 META Group社バイス・プレジデント兼エネルギー情報戦略部門ディレクタのRick Nicholson氏によれば,「コストを削減するわけにはいかない分野の支出が増加傾向にある」という。支出が増えているのは,エネルギー取引,リスク管理システム,エネルギー管理システム,計測システムなど,卸発電市場の再構築に関連する分野だ。

 エネルギー関連企業のうち,81%がセキュリテイに関する支出を増やしており,支出を削減した企業はわずか4%にとどまった。エネルギー取引/リスク管理システムについては,企業の44%が「増加」,30%が「現状維持」,11%が「削減」と回答した。計測システムでは「増加」が33%,「現状維持」が52%,「削減」が7%。エネルギー管理システム(EMS/SCADA)では,「増加」が33%,「現状維持」が48%,「削減」が4%だった。

 Nicholson氏は,基幹インフラの保護や連邦エネルギー規制委員会(FERC)が勧告する送電システムの再構築などが,エネルギー公益事業のIT支出に大きな影響を与えていると分析する。「同業界のIT支出は,来年は横這いとなり,2005年に増加するだろう」(同氏)

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