無線LAN技術開発を手がけるベンチャ企業,米Airgo Networks社は,無線LAN用チップセット「AGN100」のサンプル出荷を米国時間8月18日に発表した。同社によれば,Airgoの複数アンテナ・システムを使った場合,AGN100は,既存のWi-Fi規格において1チャネルで通信速度108Mビット/秒を実現する。

 同製品は,既存の802.11a/b/g標準のすべてと互換性を確保しながら,無線を高速化する技術MIMO(Multiple Input Multiple Output)を組み込んでいる。AGN100をテストした結果,1台のアクセス・ポイントでカバーできる距離が,競合する無線LANチップセットと比べて2~6倍に拡大している。そのため,通信可能なエリアが大幅に拡大するという。

 同社によれば,同チップを採用することにより,家電製造業者は,高解像度ビデオ,DVD品質の音楽,インタラクティブ・ゲーム,データ・ネットワーキングを同時に楽しめる無線のマルチメディア・ホームのビジョン実現が可能になる。

 「Airgoチームは,均一ではない通信範囲,距離の制約,不十分なスピード,不適当なセキュリティ,複数の標準による混乱など,無線LANの採用に関わる技術的な障害をすべて取り除いた。OEM向けにこれらの障害をコスト効率に優れた高度な単一のソリューションで解消することにより,ついに無線が約束するシームレスで安全な家庭マルチメディア・ネットワーク,企業データ・ネットワーク,Wi-Fiホットスポットが実現可能となる」(同社CEOのGreg Raleigh氏)

 AGN100は,Baseband/MACチップ(AGN100BB)とRFチップ(AGN100RF)を統合したチップセット。拡張可能なアーキテクチャで作られており,製造業者は,RFチップセットを使って単一のアンテナ・システムに実装できるとともに,RFチップを追加することにより,パフォーマンスの向上が図れる。

 同チップセットは,802.11a/b/g標準とともに,802.11i/eのドラフト仕様にも対応している。同社は現在,製造パートナと協力してアクセスポイント,カードバス,ミニPCI,PCIクライアントの設計を行なっている。AGN100チップセットを搭載したサンプル製品は,同社の製造パートナ,ネットワーク機器の製造業者とその他のOEM向けに提供される。

 同社は,OVP Venture Funds,Sevin Rosen Funds,Nokia Venture Partners,Accel社などから合計5200万ドルの資金を調達している。

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