米RealNetworksは米国時間8月6日,デジタル・メディア配信に関する開発支援プログラム「Helix Community Grant Program」を発表した。独立系開発者,学術機関,研究施設,非営利団体,企業などあらゆる組織を対象にする。

 RealNetworks社Helix Products and Solutions部門バイス・プレジデントのNagesh Pabbisetty氏は,「『Helix Platform』に最先端の研究成果を取り入れ,最大級の拡張性を備えることを目指す」と述べた。また,「われわれと同じようにデジタル・メディア配信の未来に心を躍らせている人々を支援したい。当社以外の革新的な研究や創造的なプロジェクトを援助することが,その意思を示す最良の方法だと考える」と付け加えた。

 Helix Platformは,デジタル・メディア製品開発と配信のためのプラットフォーム。メディア・サーバ/プレーヤ,エンコーダ/デコーダのソース・コードが含まれている。

 Helix Community Grant Programでは,デジタル・メディアに関する研究やプロジェクトの援助資金として7万5000ドルを用意する。また,Helix Platformに詳しい技術アドバイザが,プロジェクトの問題点克服やHelixコードの利用について協力する。同プログラムへの申込みは,2003年10月3日まで受け付ける。

 Helix Community Grant Programの活動内容は,主に以下の3カテゴリに大別される。

1)最先端の研究
・デジタル・メディアが直面しているネットワークの難問の解決
・デジタル・メディアの用途をさらに広げる新しい機能の作成
・Helix Platformの限界のテスト
・伝送,コーデック,メディア配信技術の最新研究成果をHelix Platformに適用

2)導入促進のためのソリューション
・Helix PlatformでサポートするOS,コーデック,デバイスを拡大
・Helix Platformにおける最新のオーディオ,ビデオ,ネットワーク規格への準拠

3)クリエイティブなプロジェクト
・Helix Platform向けの創造的なアプリケーションや拡張機能のプロジェクトを推進
・高いエンターテインメント性を示したプロジェクトへの資金援助

 またRealNetworks社は,オープン・ソースのメディア・プレーヤ開発プロジェクト「Helix Player」も明らかにした。同プロジェクトは,すでにHelixコミュニティで取り組んでいるという。RealNetworks社は同プロジェクトへの参加を呼びかけている。「Linux,UNIX,Solarisユーザーは,現在WindowsユーザーやMac OSユーザーが『RealOne Player』で体験しているのと同様のデジタル・メディア再生を楽しむことができるようになる」(RealNetworks社)

 Helix Playerはオープン・ソースのマルチメディア再生エンジン「Helix DNA Client」をベースにする。初回バージョンは,LinuxとSolarisに対応する。freedesktop.orgの標準規格をサポートし,GTK+ツールキットを用いる。モジュラ構造をとるため,他のOSや組み込み機器への移植が容易に行えるという。

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[発表資料(1)]
[発表資料(2)]