米AMDと米National Semiconductorは,AMD社によるNational Semiconductor社の情報アプライアンス(IA)事業の全資産買収について最終合意に達した。AMD社が米国時間8月6日に明らかにしたもの。これにより同社は,パーソナル・コネクティビテ・ソリューション(PCS)部門の製品拡充を図る。手続きは8月中に完了すると見込むが,買収金額など詳細な取引条件については明らかにしていない。

 買収合意に従いAMD社は,マイクロプロセサ「Geode」製品系列を中心に,National Semiconductor社の知的財産および資産を取得する。IA事業に関わる132人の従業員は,AMD社PCS部門に移籍する。

 Geodeは,プロセサ,グラフィックス,インタフェースを統合したLSI。「超省電力の設計がなされており,IAに適した性能を持つ。スマート・ディスプレイなどに最適な価格/消費電力/性能のバランスを提供する」(National Semiconductor社)。AMD社では,シン・クライアント,スマート・ディスプレイ,セットトップ・ボックスといった製品でGeodeを使う予定という。

 AMD社社長兼CEOのHector Ruiz氏は,「National Semiconductor社のIA事業を買収することで,当社は,組み込みアプリケーションから,モバイル,デスクトップ,サーバーまで対応可能な共通の業界標準アーキテクチャを提供するための,資産,専従リソース,戦略的ビジョンを持つ唯一の企業になれる」と述べる。

 また事業に与える効果については,AMD社PCS部門担当副社長兼ジェネラル・マネージャのBilly Edwards氏が,「現在の顧客と市場の範囲を拡大するとともに,市場の要求に合った低消費電力/高性能の新製品にx86アーキテクチャを適用する機会を得られる」と説明する。

 一方National Semiconductor社会長兼社長兼CEOのBrian L. Hallaは,「(IA事業を手放すことで)当社の主力である拡大中のアナログ事業に注力し,収益改善に集中できる」としている。

 なお米メディアの報道(CNET News.com)によると,National Semiconductor社の2003会計年度(2002年6月~2003年5月期)の総売上高16億ドルに対し,IA事業の占める割合はわずか5%だったという。

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