米Red Hat社は,Webアプリケーション市場にオープンソース・ソフトをもたらすための戦略を米国時間8月5日に明らかにした。同戦略は,企業向けOS「Red Hat Enterprise Linux」上で動作するオープンな標準ベースのWebアプリケーションの開発,採用促進を主な目的としている。

 同社は,同戦略のもとに,同社はRed Hat Linuxオペレーティング・システムにオープンソース開発ツール「Eclipse」とObjectWebからのWebアプリケーション・サーバー・ソフトを統合する。Webアプリケーションの開発,作成に必要なJavaベースのオープンソース・ツール,機能,サービスなど,Webアプリケーションを配備するのに必要なコア技術のインフラが提供される。

 これら製品のバンドルにより,Javaソフトウエア開発者は既存のアプリケーションの移行や新しいWebアプリケーションの作成にオープンソースの開発ツールとサーバー・ソフトが利用できるようになる。Red Hat社は,Webアプリケーション・ソフトの技術サービスとサポートも提供する。

 また,同戦略の実現に向けて,同社はObjectWeb Consortiumに参加する。ObjectWebコンソーシアムは,トランザクション処理やデータベース接続を維持するネットワーク・サービスを提供するオープンソースのミドルウエアやサーバー・ベースのソフトウエアの開発を行なう。

 Red Hat社は,戦略の一環としてObjectWebのJonas(Java Open Application Server)をRed Hat Linux向けに最適化する。Jonasは,J2EE 1.3(Java 2 Platform, Enterprise Edition 1.3)に準拠しており,大規模なWebサイトなどのビジネス・アプリケーションに利用されている。

 また,同社は,Apache Software FoundationにおいてJavaベースのWebアプリケーション・サーバーである「Tomcat」などのJakartaプロジェクトに協力する。これらの技術にオープンソースのJavaコンパイラ「GNU Compiler Java Edition(gcj)」などを組み合わせることにより,企業向けのオープンソースWebアプリケーション環境が構成される。

 Eclipseは,Red Hat社の次期Enterprise Linuxプラットフォームのサーバーとクライアントの両方に収録される。これらをバンドルした製品のテスト版は,2003年内に出荷が予定されている。「Red Hat Enterprise Linux」レーベルのもとで販売される予定。価格は明らかにされていない。

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