台湾のチップ・メーカーであるUnited Microelectronics(UMC)は,2003年第2四半期の決算を現地時間7月30日に発表した。売上高は前年同期比21.3%増の217億1000万台湾ドル(約6億2700万ドル)。しかし純利益は,前年同期比39.6%減の26億9000万台湾ドル(約7800万ドル)となった。1株当たり利益は0.18台湾ドル(約0.005ドル)で,前年同期の0.30台湾ドル(約0.009ドル)から減少した。

 営業利益は24億8000万台湾ドルで,前年同期と比べ255.4%成長した。ウエーハの出荷量は前年同期から23.3%増加し,8インチ・ウエーハにして55万枚分となった。ASP(平均販売価格)は前年同期比1%減少した。

 なお,米メディア(InfoWorld)によると,純利益の大幅減は,営業外利益が前年同期と比べ82%も低下したことが要因としている。前年同期の営業外利益は34億台湾ドルだったが,当期は6億1000万台湾ドルに激減した。なおUMCの営業外利益の大半は,長期投資が占めている。

 UMC,CEOのJackson Hu氏は,「パソコン分野で新たな顧客を獲得したことが,売上高と営業利益の成長につながった。また今期は,90nmの次世代技術の提供や,300mmウエーハに0.13μmルールを用いた大量生産などを通じて,市場で確固とした足場を築くことができた」と述べた。

 またHu氏は今後の見通しについて,次のような予測を立てている。「第3四半期は,SARS(重症急性呼吸器症候群)の余波で在庫がだぶついているハンドセット向けチップを中心に,需要が減退するだろう。しかし低迷は長びかず,すぐに通常レベルまで回復する。また今年後半には,0.13μmルール技術の需要も高まる見通しだ。当社は300mmウエーハを大量生産できるため,コスト削減が図れるだろう」(同氏)

 ちなみにHu氏は,7月15日にUMCのCEOに就任したばかり。昨年まで,通信業界向けにチップと知的財産権を取り扱う米SiRF Technologyの社長兼CEOを務めていた。

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