米IBMと日本IBMが米国と東京でそれぞれ現地時間7月30日に,米AMDの64ビット・プロセサOpteronを2個搭載可能な1Uサーバー「eServer 325」を発表した。IBM社では,「クラスタ化することで,スーパーコンピュータ並みの演算性能を出せる」としている。

 eServer 325は,Opteron Model 240/242/246のいずれかを搭載する。32ビットから64ビット技術へのスムーズな移行を可能とし,既存のソフトウエア資産を無駄にしないという。さらに32ビットと64ビットのアプリケーションを同時に実行できるので,「管理を効率化する柔軟性を持つ」(同社)。対応OSはLinuxおよびWindows。

 同サーバーとLinuxクラスタ対応のブレード・サーバー「eServer Cluster 1350」を組み合わせると,クラスタ・ソリューションを構築できる。

 同社がOpteron Model 246プロセサを2個搭載する8台のeServer 325上でSuSE Linux Enterprise Server 8とDB2 Universal Databaseを動作させ,ベンチマーク・テストTPC-Hで演算性能を計測したところ,12214 QphH@100GBという結果を得たという。価格性能比はQphH@100 GB当たり70ドルとなり,「eServer 325の方が,米Hewlett-Packardのクラスタ・システムに比べ価格性能比で5倍,全体的な性能では2倍以上優れている」(IBM社)。

 eServer 325は2003年第2四半期後半に出荷を開始し,量産品は2003年10月17日より利用可能とする。価格は2919ドルから。

 また同社は同日,独立行政法人の産業技術総合研究所(産総研)からeServer 325ベースのクラスタ・システムを受注したことを明らかにした。2ウエイの同サーバー1058台を組み合わせ,Linuxクラスタを構築する。演算性能は11テラFLOPS以上という。

 産総研では,超伝導や燃料電池向け素材開発,難病の治療薬に応用できる新化合物の研究などに同システムを利用する予定。

 なお米メディアの報道(InfoWorld)によると,産総研のクラスタ・システムは,2116個のOpteron Model 246プロセサに加え,合計520個のItanium 2プロセサも組み込むという。Opteronプロセサ・システムの論理的な演算性能が最高8.5テラFLOPS,Itanium 2システムが最高2.7テラFLOPSあることから,全体として11.2テラFLOPSを実現する。IBM社は,同システムを2004年3月に納入できると見込む。

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