米Silicon Graphics(SGI)とOpenGL Architecture Review Board(ARB)は,2次元/3次元グラフィックス用のAPI仕様「OpenGL 1.5」を公開した。SGIが米国時間7月28日に明らかにしたもの。

 OpenGL 1.5は,OpenGL ARBの正式拡張仕様であるシェーディング言語「OpenGL Shading Language」を含む。同言語は,将来リリース予定の「OpenGL 2.0」の基盤となる技術という。「OpenGLは90年代初めに,第1世代グラフィックスに影響を及ぼした。それと同じ影響を次世代グラフィックスに与えるのが,OpenGL 1.5。特にOpenGL Shading Languageだ。OpenGL 1.5は業界を根本から変えてしまうだろう」(SGIビジュアル・システム部門マーケティング担当ディレクタのShawn Underwood氏)

 OpenGL 1.5の新機能は以下の通り。

・頂点バッファ・オブジェクト:レンダリング性能を高めるための頂点配列

・シャドウ機能:シャドウ・マッピング用比較関数の追加

・隠蔽クエリー:カリング性能を向上させるための非同期隠蔽テスト

・非2乗テクスチャ:mipmapなどテクスチャ・メモリーの利用効率向上

・OpenGL Shading Language v. 1.0:シェーダ・オブジェクト,頂点シェーダ,フラグメント・シェーダ用の拡張機能

 またメディア処理用API開発を目的とする業界団体Khronos Groupが同日,組込みシステム用2次元/3次元グラフィックス仕様「OpenGL ES 1.0」の承認を発表した。さらにKhronos Groupは,さまざまなOSにOpenGL ESを実装するための標準的な方法について記述した「EGL 1.0」も策定した。

 OpenGL ESはOpenGLのサブセット・プロファイルを定義する仕様。組込みアプリケーションでの利用に配慮し,使用するメモリー量を抑えているという。OpenGL ES 1.0をソフトウエアとして実装する場合,50Kバイトほどの容量で済む。また,ハードウエアによる固定小数点/浮動小数点グラフィックス・アクセラレータとしても実現できる。

 OpenGL ES 1.0およびEGL 1.0は,Khronos GroupのWWWサイトから無料でダウンロードできる。実装にライセンスは必要なく,ロイヤルティ・フリーで利用できる。

 さらにKhronos Groupは,メディアをオーサリング/動的再生するためのAPI仕様「OpenML」について,開発キット「Software Development Kit(SDK)for OpenML 1.0」のアルファ版を公開した。同SDKを使用すると,デジタル・メディア・コンテンツを取得/処理/同期/再生するプログラム作成が可能となる。

 アルファ版はWindowsとLinuxに対応しており,Khronos GroupのWWWサイトで無償提供している。なおSGIは,すでに同SDKのIRIX対応版を公開している。

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[発表資料(SGIによるOpenGL 1.5)]
[発表資料(Khronos GroupによるOpenGL ES 1.0)]
[発表資料(Khronos GroupによるSDK for OpenML 1.0)]