「写真業界は,プリント・サービスの相互接続性の問題を解決するソリューションとして,Webサービスに目を向けるべき」。米Gartnerが米国時間7月22日に,デジタル写真サービスに関する調査結果を発表した。Gartner社では,「写真業界はデジタル・カメラの成功で躍進したものの,デジタル画像/プリント注文情報/取引情報を交換する標準的な仕組みを持っていない」と指摘している。

 同社によると,デジタル・カメラの利幅は小さいので,収益を上げるには写真のプリントや消耗品などの売上に頼る必要があるという。「そこでカメラ・メーカーは,利益を得ようと独自のオンライン・ディレクトリを作り,オンライン写真サービス提供のためいくつもグループを設立した。しかしそれぞれが独自技術を採用しているので,各グループ間の相互接続性は限られている」(同社)

 「消費者の多くが,自分のプリンタでデジタル写真をプリントしている。これは効率の良い方法ではないし,一般的な消費者には受け入れられない」(Gartner社主任アナリストのDavid Haueter氏)

 同社では,「消費者とバックエンド・サービスを結びつけるには悪夢のような統合作業が必要だが,Webサービスを利用すれば,こうした統合を低コストで容易に実現できる」とする。同社のアナリストは,「デジタル写真に関する業界団体International Imaging Industry Association(I3A)の取り組みで,Webサービス技術が有効に機能する」と述べる。

 I3Aは,Webサービス・ベースのデジタル写真プリント・サービス向け仕様「Common Picture Exchange Environment(CPXe)」の策定や,写真サービス向けオンライン・ディレクトリ「Picture Services Network(PSN)」の構築を行った。同仕様を策定したCPXe Initiative Groupには,米Eastman Kodak,富士写真フイルム,米Hewlett-Packard,コニカ,オリンパス光学工業,ドイツのSilverwire AGなどが参加している。

 「I3AのCPXeは,画像処理機器がメーカーやサービス・プロバイダ,地域に関係なく,デジタル画像や情報を交換できるオープンな環境を作り出せる」(Gartner社調査部門担当副社長兼フェローのDavid Smith氏)

 Gartner社は,「CPXeは成功し,間違いなくユーザーに恩恵やさまざまな効果をもたらす」と予測するが,「現在CPXeに参加していない業界大手のソニーやニコン,大手小売店の米Best Buy,米Walmart,米CVSなどの協力も必要」とみる。

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