「パソコンが1000台ある企業の場合,80人以上の社員がファイル交換(PtoP)アプリケーションをインストールし,数百Gバイトものファイルをダウンロードしている。音楽,映画,ソフトウエアなどの著作権を侵害している可能性が高い」。カナダのAssetMetrixは現地時間7月16日,企業でどの程度PtoPアプリケーションが広まっているか調査した結果を発表した。

 AssetMetrix社は,「PtoPアプリケーションが,ネットワーク・セキュリティに重大な損害を与えることもありうる」と忠告する。「PtoPアプリケーションを利用するウイルスが存在する上,ほぼすべてのPtoPアプリケーションは,トラックウエアやアドウエアとみられるサード・パーティ製アプリケーションをインストールする」(同社)

 調査は560社以上の企業を対象に実施したもの。これらの企業が所有するパソコンは合計17万5000台を超える。主な調査結果は以下の通り。

・調査対象となった企業の77%で,PtoPアプリケーションのインストールが認められた。

・一部の企業では,所有パソコンの58%にPtoPアプリケーションがインストールされていた。

・500台以上パソコンを所有する企業では,必ずPtoPアプリケーションが見つかった。

・企業におけるPtoPアプリケーションのインストール率は,2.15%~8.38%だった。

 またAssetMetrix社は,企業内でのPtoPアプリケーションの使用状況を監視するサービス「P2P-Tracker」を同日発表した。AssetMetrix社は,2003年8月31日まで同サービスをWebサイトで無償提供する。

 米連邦裁判所が先ごろ下した判決により,PtoPアプリケーションを使って著作権付きデータを入手した人物について,全米レコード協会(RIAA)がISPに情報開示を強制できることになった(RIAAの発表資料関連記事)。著作権を侵害すると,1コンテンツ当たり最大15万ドルもの罰金が課せられる上,損害賠償の請求や懲役刑もありうるという。

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