米Microsoftが,Webサービス・アプリケーションのセキュリティ確保用アドオン・パッケージの次版「Microsoft Web Services Enhancements(WSE)2.0」について,技術プレビューを行うと,米国時間7月15日に発表した。Microsoft社は,「WSEをVisual Studio .NETと組み合わせて利用することで,安全なWebサービスを開発する作業を大幅に省力化できる」としている。同パッケージは,同社の開発者向けプログラムであるMSDNのWWWサイトでダウンロード配布する。

 WSEは,Webサービス・アプリケーションをWS-Security,WS-Routing,WS-Attachmentsといった仕様に対応させて,安全性を確保するためのツール・キット。さらに次版では,WS-Policy,WS-SecurityPolicy,WS-Trust,WS-SecureConversation,WS-Addressingといった仕様にも対応するという。「開発者はWebサービス・アプリケーションにほんの数行コードを加えるだけで,一連のセキュリティ・ポリシーを適用できる」(Microsoft社高度Webサービス部門製品マネージャのRebecca Dias氏)

 WSE 2.0は,TCP,HTTP,同期/非同期通信など複数のデータ転送方式に対応したメッセージング・ベースのオブジェクト・モデルを提供する。非同期通信メッセージは,完了するまで数時間もかかるようなアプリケーションが通信する際に有用という。

 WSE 2.0の主な新機能は以下の通り。

・トークン発行フレームワーク(WS-Trust,WS-SecureConversation):
 WS-Securityベースの機能で,セキュリティの要求/発行を行う拡張と,信頼関係と安全な通信を管理する拡張を定義する。

・Windowsセキュリティに組み込む役割ベースの認定機能:
 Webサービスなどにアクセスする際に,既にあるWindowsドメイン証明書の利用を可能とする。

・宣言型プログラミング・モデル(WS-Policy,WS-SecurityPolicy):
 セキュリティおよびルーティング情報を含むWebサービスのSOAPヘッダーを処理し,送受信するメッセージの検証を行うランタイム・コンポーネントに対し,動作ポリシーを作成できる。

・メッセージ・ベースのオブジェクト・モデル(WS-Addressing):
 TCPおよびHTTP上でメッセージ・ベースのプログラミング・モデルを利用可能とする。

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