米Gartnerが米国時間7月9日に,半導体向け設備投資などに関する調査結果を発表した。それによると,2003年における全世界の半導体向け設備投資額は299億ドルで,前年に比べ7.9%増加するという。2002年の支出額は前年比37.9%減と大幅に落ち込んだが,2003年からプラス成長に回復する見込みだ。

 地域別にみると,日本企業による支出額の増加が最も著しく,前年比25~30%増えるとみる。この理由として,Gartner社半導体製造/設計調査グループ担当マネージング副社長のKlaus-Dieter Rinnen氏は,「企業再編により新たにベンチャ企業が設立された」ことを挙げる。

 「韓国のSamsung Electronicsが前年比50%以上も支出を増加する積極的な計画を立てていることから,現在のところDRAMに対する活発な投資が続いている。しかし工場には不確定要素があり,2003年の工場拡張は横ばいになると予想しているものの,状況は一瞬で変わってしまう可能性がある」(同氏)

■世界の半導体向け資本/設備投資額(単位:100万ドル)

                                2002年      2003年       2004年
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半導体資本支出                 27,661      29,851       41,007
  成長率(%)                  -37.9         7.9         37.4
資本設備(試験を除く)         18,547      20,583       28,468
  成長率(%)                  -30.4        11.0         38.3
ウエーハ工場設備               16,203      17,619       24,424
  成長率(%)                  -31.5         8.7         38.6
パッケージング/組み立て設備    2,344       2,965        4,044
  成長率(%)                  -21.6        26.5         36.4
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出典:Gartner社Dataquest(2003年7月)

 そのほかの主な調査結果は以下の通り。

・ウエーハ工場の稼働率は,全体で81%,先端技術(同社は0.18μmルール以下と定義)に限ると90%に達すると予測する。「半導体部品に対する需要が2000年に記録した最高レベルに近づき,在庫量が低く健全な状態になり,設備投資の控えめな状況が続いている影響」(同社)

・ウエーハ価格の上昇は少ないものの出荷量が増えることから,売上高は前年に比べ23%増えるという

・300mmウエーハ装置の売上高が,2003年に初めて全体の過半数を超えるとみる。300mm対応装置の売上高は今後も増え続け,2005年にピークを迎え、全体の70%以上を占める

・過去1年に最新のパッケージング分野が大きく成長し,製造稼働率が高くなっていることから,パッケージングおよび装置市場は2003年にプラス成長に戻る。「Chip Scale Package(CSP)とBall Grid Array(BGA)がパッケージ分野を牽引していることに加え,高性能製品向けフリップ・チップへの移行が続いている影響もある」(Gartner社世界半導体製造グループ調査担当副社長のJim Walker氏)

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