米Gartnerは米国時間7月9日,プロジェクト・ポートフォリオ管理(PPM)ソフトウエアの世界市場について調査した結果を発表した。それによると,2003年の新規ライセンス収入は前年比18%増の4億2060万ドルに達する見通しだ。2002年は同36%増の3億5770万ドルだった。厳しい経済状況がソフトウエア分野に影を落としているにも関わらず,PPM市場のライセンス収入は着実に増加している。

 Gartner社Software Researchグループ担当業界アナリストのHams El-Gabri氏は,「景気が弱含みで,売上高の増加が困難なため,企業はコスト削減に注力するようになった。PPMソフトウエアは,プロジェクトやサービスの管理を通じて,社内プロセスの効率や業務内容の透明性を向上し,適切な意思決定を行ううえで役に立つ」と説明する。

 PPMは,その他の企業向けアプリケーション・ソフトウエア(EAS)と比べ,比較的新しい市場である。そのため明確なリーダー企業はまだ存在せず,市場ではし烈な競争が続いている。しかし,PPMが提供する機能の多くは目新しいものではない。このため,EASスイートを提供する企業の中には,PPM向けの機能をいち早く開発/取得して,市場の参入に成功しているベンダーもいる。

 「このような先発組は,成長期にある市場で足場を築き,既存の顧客の囲い込みに成功している。『一番乗りしたベンダー』は,『最も優れたベンダー』よりインパクトが強く,知名度を高めることができる」(El-Gabri氏)

 現在,PPM市場の成長をけん引しているは,ポートフォリオ管理の必要性である。その他にも,ITサービスの社内調達や各地に分散した従業員の管理といったニーズが市場の拡大に貢献している。また,ITおよびIS(情報システム)支出の削減が続き,既存システムの効率向上を迫られている企業が,PPMソフトを導入しているという。

 しかしEl-Gabri氏は,「企業がPPMソフトによってすべての問題を解決できると考えるのは間違いだ」と指摘する。「PPMソフトはあくまで問題を突きとめるための道具に過ぎず,対策を実行しなければ成果を得ることはできない」(同氏)

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