米Adobe Systemsが米国時間7月7日に，デジタル・ビデオ編集ソフトウエア「Premiere Pro」を発表した。米Microsoftの「Windows XP」と米Intelのプロセサを搭載したシステムに対応する。
Premiere Proは，既存のビデオ編集ソフトウエア「Premiere」を大幅にアップグレードしたもの。精巧なカラー調整，新たなオーディオ・コントロール，ネスト化した複数のタイムラインなどを備え，機能強化を図ったという。
同日発表した映像加工ツール「After Effects 6.0」とオーディオ編集ソフトウエア「Audition」，4月に発表したDVDオーサリング・ソフト「Encore DVD」などと組み合わせることで，「Windowsベースのデジタル・ビデオ制作に向けた総合製品ラインを構成する」（Adobe社）。
なおAuditionは，Adobe社が5月に買収を発表した米Syntrillium Softwareのデジタル・オーディオ・ツール「Cool Edit Pro」をAdobeブランドに名称変更したもの。
「Adobe社の新たなビデオ・アプリケーションを使って，ユーザーは高価なビデオ制作システムを購入することなく，プロ品質のビデオを作成可能。また，ビデオ編集のプロは，パソコンをプラットフォームとして，革新的なデジタル・ビデオを生み出すことができる」（Adobe社社長兼CEOのBruce Chizen氏）
Premiere Pro，After Effects，Encore DVDは，Intel社の「Hyper-Threading」技術を最大限活用するよう設計されているという。Hyper-Threadingはプロセサの命令をスレッド・レベルで並列処理する技術で，一つのプロセサを論理的に二つのプロセサとして扱う。
また，Premiere Pro，After Effects，Auditionは，Microsoft社のデジタル・メディア・プラットフォーム「Windows Media 9」が備える高品位（HD）ビデオや7.1chサラウンド・サウンド対応のストリーミング・オーディオといった機能をサポートする。
Premiere Proの製品価格は699ドル，アップグレード価格は199ドル。After Effects 6.0は「Windows 2000」「同XP」のほか，米Apple Computerの「Mac OS X 10.2.6」に対応する。Standard版の製品価格が699ドルでアップグレード価格が199ドル，Professional版の製品価格が999ドルでアップグレード価格が299ドル。Auditionは「Windows 98」，同2000，同XPに対応し，製品価格は299ドル。Cool Edit Proユーザーは99ドルでアップグレード可能。2003年8月末までに米国とカナダで出荷を開始する。
これらのソフトウエアは個別に販売するが，スイート製品「Adobe Video Collection」としても購入可能。Windows XP対応Adobe Video Collectionは，「Professional」版と「Standard」版を用意する。Professional版にはAudition，Encore DVD，Premiere Pro，After Effects（Professional版），Photoshop 7.0が含まれ，価格は1499ドル。Standard版には，Audition，Encore DVD，Premiere Pro，After Effects（Standard版）が含まれ，価格は999ドル。2003年8月末までに米国とカナダで出荷を開始する。
ちなみに米メディアの報道（CNET News.com）によると，Adobe社は「Mac OS」対応のPremiere Proを開発する予定はないという。「Apple社自身が『Final Cut』ファミリ製品などの競合ソフトウエアを販売しているため，サード・パーティにとって市場が狭まりつつある」（Adobe社デジタル・ビデオ製品グループ上級ディレクタのDavid Trescot氏）
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