米Gartnerは米国時間7月7日に,海外企業に業務を委託するオフショア・ビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)市場に関する調査結果を発表した。それによると,オフショアBPO市場は2003年に前年比38%成長し,13億ドル規模に達するという。これは,BPO全体の売上高の1.5%にあたる数字である。

 Gartner社ソーシング・グループ主席アナリストのRebecca Scholl氏は,「過去数カ月間にオフショアBPO戦略の展開を図っていた企業が試験プロジェクトを首尾よく遂行すれば,新規契約や契約延長などにより,今後2年間でオフショアBPO市場は急激に成長するだろう」と予測する。しかし同氏は,オフショアBPOサービスを導入する際には注意が必要だと指摘する。「オフショアBPO市場の成長は続くが,昨年騒がれたほどの勢いではない」(Scholl氏)

 インドへのBPO支出は昨年の10億ドル未満から2003年は12億ドルに増加し,オフショアBPO市場全体の66%を占める見込みだ。大企業が利用するオフショアBPOプロバイダは,インドの企業が最も多い。しかし「インドのサービス・プロバイダは現状に甘んじてはいけない。他の英語圏の国々が能力を付け,企業の投資予算に合った価格で積極的に攻勢を仕掛けてくるだろう」と,Gartner社リサーチ担当バイス・プレジデントのSujay Chohan氏は警告する。

 オフショアBPO市場は成長しているものの,依然として未熟である。Gartner社が2003年4月に実施した調査では,BPOサービスを導入している米国企業250社のうち,すでに海外へアウトソーシングしている企業は1%,今後2年間に海外へアウトソーシングする予定の企業は19%だった。Gartner社ITサービス・グループ主席アナリストのDebashish Sinha氏によれば,1000人以上の従業員を抱える企業の場合,1/3以上は米国に拠点を持つBPOプロバイダからオフショアBPOサービスを導入しているという。「サービスを供給する基盤が整い,企業が海外のサービス・プロバイダとの取引に慣れるにしたがい,アウトソーシングの利用は大幅に高まるだろう」(Sinha氏)

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