米Sun Microsystemsと米MicrosoftのJavaをめぐる係争で,米第4巡回区連邦控訴裁のJ. Frederick Motz判事は米国時間6月26日,Microsoft社が著作権を侵害しているとの地裁の判断を支持する判決を下した。しかし,Java搭載の仮命令については差し戻しとした。Sun社はこれを受けて,同日声明を発表している。

 両社の係争は,次のような経過をたどっている。Sun社は1997年10月7日に,Microsoft社がMicrosoft社製品のみに互換するJava製品を出荷したとして提訴していた。2001年1月23日に,Sun社とMicrosoft社がこの係争で和解に達し,Microsoft社はSun社のJava技術を使った既存製品(ベータ版を含む)の出荷を継続して行えるようになった。ただしそれは,Java 1.1.4が組み込まれているMicrosoft社製品に対してSun社が限定的に許可するもので,その有効期間は7年間となっていた。Microsoft社はWindows XPにJava VM(Java仮想マシン)を標準搭載しないことを決定し,2001年7月にその旨を発表した。

 Sun社は2002年3月,Microsoft社が「Javaプラットフォームの普及を妨害し,ライセンスを受けていないJava対応製品を配布した」として,Microsoft社を独禁法違反で提訴した。その際,Sun社はMicrosoft社に,1)「Windows XP」と「Internet Explorer」にSun社が開発した現行のJavaプラグインのバイナリ実装を組み込んで配布すること,2)Microsoft社のJava Virtual Machineの別途ダウンロード配布を中止すること,などを求めていた。

 この訴訟で,連邦地裁は2002年12月に,Sun社の言い分を認める判決を下している。同判事はMicrosoft社に対し,Sun社のJava技術をWindowsに即座に搭載するよう仮命令を言い渡した。Microsoft社は「(この裁定が)市場の自由な活動に対して不必要な干渉をしている」として,2003年2月に控訴していた。

 今回Motz判事は,「Microsoft社がSun社の著作権を侵害した」とする地裁の判断を支持した。Sun社法務部門バイス・プレジデントのLee Patch氏は,「控訴裁の判断にたいへん満足している。これで,Microsoft社が当社との和解契約に違反していることが確認された」と述べた。「Java搭載の仮命令が差し戻しになったことは残念だが,控訴裁はMicrosoft社が反競争的行為に従事したとする地裁の判断を認めている。今後,審理が迅速に進み,その他の(Microsoft社の)違反行為についても解決の道が開けるよう望んでいる」(同氏)

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