「企業は,ITサービス業界で買収や合併が進んでいることを念頭において,ASP(Application Service Provider)と慎重にアウトソーシング契約を締結する必要がある」。米Gartnerは米国時間6月25日,同社がロサンゼルスで6月23日~25日に開催した「Gartner Outsourcing Summit」で,アウトソーシングに関する調査分析を明らかにした。

 Gartner社業界アナリストのTed Chamberlin氏は,企業がアウトソーシング契約に含めるべき内容として,“ASPの25%買収条項”をあげている。Gartner社によると,ASPの25%買収条項とは,企業が契約しているサービス・プロバイダが他社によって25%以上買収された場合,その企業は契約を解除する権利があると定める条項のこと。

 同社はそのほかに,契約内容に含めるべき内容として以下の条項を提案している。

・競争的価格に関する条項:ASPは,大規模なアウトソーシング契約を結ぶ企業に対して,他社に提示した好条件の価格と同額の見積を提示する義務がある。

・契約内容の見直しに関する条項:企業は,契約期間延長や契約金額の大幅な変更なしに,新しいアプリケーションを追加するなど,契約内容を見直すことができる。

・価格の事前設定に関する条項:価格交渉によるアップグレードの遅延を回避するために,新たなアプリケーション,サーバー,ビジネス・モデルをサービス対象に加えた場合の金額を事前に設定する。

・サービス・レベルの保証に関する条項:ASPのサービスが一定の水準に満たない場合,企業は解約したり保証を受けることができる。

 Gartner社は,2004年までに企業の70%がASP,ニッチ・アプリケーション・ベンダー,オフショア・プロバイダ(国外のプロバイダ)などと契約して,アプリケーションのアウトソーシングを行うようになるとみる。

 Chamberlin氏は,「企業がASPと契約を結ぶ場合,まず市場にどのようなサービスが存在するのかを理解することが重要だ。そのためにも,自社のニーズを正確に把握し,サービス・プロバイダを評価/選択する明確な基準を設けるべきだ」とアドバイスした。

◎関連記事
「企業の3分の2はソフトウエア開発をアウトソース」,米調査会社
アウトソーシングで重要なのは,“リストラ”される社員の扱い
「アウトソーシングの真の狙いは“高齢化”対策」
公共ITアウトソーシング・ガイドは「住民不在が玉にキズ」
米HPインド法人のソフト・サービス部門と現地ITサービス企業が合併
米EDS,新会長のもとに新しい経営戦略を発表,従業員の2%を削減
2003年のITアウトソーシング市場は2.1%拡大へ,ゼロ成長のIT分野の中で健闘
2003年のITサービス市場は前年から3.5%成長,企業のIT予算でセキュリティが初めて5%を越える

[発表資料へ]