富士通の米国子会社Fujitsu Microelectronics America(FMA)と富士通研究所の米国子会社Fujitsu Laboratories of America(FLA)が,10GビットEthernetスイッチ用LSI「MB87Q3050」を米国時間6月25日に発表した。「MB87Q3050は,単一LSIで10GビットEthernetスイッチ機能を実現できる業界初の製品。高性能サーバーにおけるレイヤー2機能を提供する目的で設計した」(両社)

 MB87Q3050は256平方mmのダイ上に,10GビットEthernetを12ポート,高速バッファ・メモリー,高速I/Oマクロを集積している。XAUI SERDESインタフェースと,IEEE802.3ae互換の10GビットEthernet MACも内蔵する。コアのクロック周波数は312.5MHzで,帯域幅は合計240Gbps。消費電力は約15W。

 両社によると,「最小サイズのEthernetパケットでも十分なスループット性能を実現できるマルチ・ポート・メモリー・サブシステムを組み込んでいる」という。「素早くパケットを適切な出力ポートに送る共有メモリーの制御プログラムに,“カット・スルー”配送メカニズムを組み合わせることで,これまで数μ秒あったピン間スイッチングの遅延時間をわずか450n秒に短縮できた」(両社)

 FLA社高度相互接続技術担当副社長のAkira Hattori氏は,「既存の10Gbpsスイッチ用LSIは広域ネットワーク用に設計されており,パッケージ・サイズが極めて大きく高価で,スイッチング遅延が大きい」と説明する。「それに対しMB87Q3050は,クラスタ・システムやブレード・サーバー・システムの要求仕様を満足できるスイッチ用LSIで,小型かつ経済的な上,遅延時間が非常に小さい」(同氏)

 両社では,「同LSIを使用することで,通常2万ドルする10GビットEthernetスイッチのポート価格を,約200ドルに下げられる」とする。

 MB87Q3050は0.11μmルールで製造し,728ピンのFC-BGAパッケージに封止する。1万個ロット時の単価は750ドルから。現在,少数のサンプル品と評価ボードの利用が可能。

 なお同LSIの開発には,日本の政府系組織である新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が資金を提供した。

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