米IBMは,エンジニアがチップの設計や検証を行う際にオンデマンドで利用できるEDA(Electronic Design Automation)ポータルを,同社の研究所があるイスラエルのハイファで,現地時間6月24日に発表した。エンジニアは必要に応じてポータルにアクセスできるため,チップの設計や検証のために高額なシステムやソフトウエアを購入する必要がないという。

 IBM社によると,企業は同ポータルを利用することによって,少ないリソースで変化するビジネス・ニーズに対応できるため,資本投資と開発コストを節約し,新製品の開発期間を短縮できるという。「このポータルは,エンジニアがチップを設計/検証する方法をすっかり変えてしまうかもしれない」(IBM社Engineering & Technology Services部門担当ジェネラル・マネージャのPat Toole氏)

 ユーザーは月額利用料金を支払って,同ポータルが提供する検証のためのノウハウや,コラボレーション・インフラにアクセスする。UNIX,Linux,Windowsのいずれかのプラットフォームを選択し,設計やバグの修正をWWWブラウザを介してリアルタイムで行える。

 なお検証ツールは,業界標準のPSL(Property Specification Language)に対応する。PSLは,IBM社が開発した記述言語「Sugar 2.0」を基に,EDA規格に関する標準化団体Accelleraが策定したプロパティ言語。

 IBM社が,自社の検証ツールをWWWを介してサービスとして提供するのは,今回が初めての試みだ。ちなみに,イスラエルのテクニオン大学VLSI(超大規模集積回路)設計研究所が,すでに同ポータルを利用しているという。

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