米Apple Comupterが米国時間6月23日に,サンフランシスコで開催中の「WWDC 2003」で,「Mac OS X」の次期メジャー・バージョン「10.3」(開発コード名「Panther」)のプレビューを行った。「Finder」を刷新したほか,開いているウインドウを一目で見わたせる「Expose」機能やビデオ会議が可能な「iChat AV」など,「100以上の新機能を提供する」(Apple社)。

 「Mac OS X 10.3」のFinderでは,ユーザがよく利用するフォルダ,ハード・ディスク装置,ネットワーク上のサーバー,インターネット上のディスク・スペース「iDisk」,リムーバブル・メディアを一カ所にまとめて,必要なときに「ワン・クリックでアクセスできる」(Apple社)。また,高速検索機能をはじめ,「Macintosh」や「Windows」,UNIXファイル・サーバーのネットワークを閲覧する機能を備える。

 Exposeでは,開いているすべてのウインドウを一覧で表示し,瞬時に目的のウインドウを最前面に持ってくることができる。デスクトップ上で重なっているウインドウを,見やすいように整頓して視覚的に並べかえることが可能。

 iChat AVは,インスタント・メッセージング・ツール「iChat」をベースにしており,広帯域接続ではフルスクリーンの動画ビデオ視聴,56Kモデムでは明瞭な音声を提供する。iChat AVにより,「インターネット上で簡単に自然な会話を楽しむことができる」(Apple社)。

 また,128ビットAES暗号化美術を用いたセキュリティ機能「FileVault」を使って,ユーザーはホーム・ディレクトリ全体を自動的に暗号化するよう設定できる。そのほか,Windowsサーバの「ActiveDirectory」とSMBベースのホーム・ディレクトリをサポートするなど,Windowsネットワーク上での「Macintosh」利用を向上するための機能も強化した。

 Apple社はサーバー用OSの次期メジャー・バージョン「Mac OS X 10.3 Server」(開発コード名「Panther Server」)のプレビューも同時に行った。複数のサーバーの設定を簡素化する「Automatic Setup」,LDAPディレクトリ・サービスとKerberos認証サービス向けの「Open Directory 2」,Java 2 Platform, Enterprise Editon(J2EE)アプリケーションを実行するためのJBossアプリケーシ
ョン・サーバーなどが含まれる。

 Mac OS X 10.3とMac OS X 10.3 Serverは,Apple社のオンライン・ストア「Apple Store」やApple社認定販売店を通じて,今年中に購入可能となる。米国での希望小売価格は,Mac OS X 10.3が129ドル。Mac OS X 10.3 Serverは10クライアント対応版が499ドル,クライアント無制限版が999ドル。

 さらに同社は,開発ツール・セット「Xcode」を同日発表した。英語版と日本語版を2003年9月15日に世界でリリースする。

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