米Oracleは米国時間6月20日,米PeopleSoftが同社の買収提案を再度正式に拒否したことを受けて,PeopleSoft社幹部を非難するコメントを発表した。

 「PeopleSoft社の幹部は,Oracle社がPeopleSoft社製品を“消滅”させ,強制的にOracle社アプリケーションへの移行を進めるつもりだと触れまわっている。これは偽りであり,脅迫まがいの策略だ」(Oracle社会長兼CEOのLarry Ellison氏)

 Oracle社は,PeopleSoft社株式の公開買付を6月9日に開始しており,6月18日には1株当たりの買付金額を当初の16ドルから19ドル50セントに変更した。

 PeopleSoft社は,買付金額が1株当たり16ドルだった時点で,すでにOracle社の買収提案を正式に拒否しているが,今回,Oracle社が再提示した条件についても応じない姿勢を明らかにした。PeopleSoft社はその理由として,「Oracle社の買収提案は,間違いなく独占禁止法の疑いで長期にわたる調査を受けることになり,買収承認を得られない可能性が高い。加えて,Oracle社が(買収が成立した場合に)PeopleSoft社製品の販売を継続しないと示唆していること」を挙げている。

 Ellison氏は「少なくとも今後10年間は,PeopleSoft社製品の開発と改良を継続する。顧客が望めば,より長い期間対応する」と反論し,「世界で4000人以上のエンジニアを,PeopleSoft社顧客のサポートにあてるつもりだ」と述べた。

 またOracle社は,「PeopleSoft社の製品と顧客に対する当社の取り組みを明白にするため」(Oracle社)として,以下の7項目を明言した。

1)PeopleSoft社製品を終了しない。

2)「Oracle E-Business Suite」への移行をPeopleSoft社顧客に強制しない。

3)顧客サポート部門を通じて,質の高い世界規模の顧客サービスをPeopleSoft社顧客に提供する。

4)PeopleSoft社製品に対してPeopleSoft社が設定しているサポート期間を拡大し,さらに10年間対応する。

5)PeopleSoft社製品の導入によってPeopleSoft社顧客が得ている利便性を削減するようないかなる行動も起こさない。

6)改良や保守を継続し,PeopleSoft社顧客の投資価値向上に努める。

7)顧客が希望した場合にのみ,モジュールのアップグレードを無償で提供し,Oracle E-Business Suiteに移行できるようにする。

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