全米音楽チャートの集計を手がける米Radio & Recordsは米国時間6月20日,音楽ダウンロード・サービスが音楽販売に与える影響について調査した結果を発表した。それによると,インターネット経由で音楽をダウンロードしてCDなどのメディアに記録する行為が,音楽販売低迷の主な原因であることは明らかだという。

 調査は,Radio & Records社の依頼を受けて米Edison Media Researchが12~44才のユーザーを対象にアンケートを実施したもの。全回答者のうち,100ファイル以上の音楽ダウンロードを行ったことのあるヘビー・ユーザーは16%。これらのヘビー・ユーザーが購入したCDは平均11.3枚で,昨年の28.9枚と比べて61%も減少した。

 Edison Media Research社副社長のJayne Charneski氏は,「かつて音楽業界が頼りにしていた熱心な音楽購入者が,現在頻繁に音楽ダウンロードを行っている。これらのユーザーの多くは,音楽を購入せず,ファイル交換サービスなどで音楽をダウンロードしてCDに記録している」と説明した。

 その他の主な調査結果は以下の通り。

・ヘビー・ユーザーの71%は「CDを購入する代わりに,誰かのCDをコピーしたことがある」と回答。48%は「インターネットを介して無償で音楽を入手できるのだから,もうCDを購入する必要はない」と答えた。

・12~17才のユーザーのうち,CDを購入する代わりに誰かのCDをコピーした経験があるのは61%で,かつてないほど増えている。

 しかし,米レコード協会(RIAA)やレコード会社が実施している著作権侵害行為防止キャンペーンの効果がみえ始めているという。ファイル交換サービスに対する消費者の意識に変化が起きつつあり,「音楽ダウンロードに代価を払ってもよいとする消費者が増えている」(Charneski氏)。

・音楽のダウンロードを利用しているユーザーの14%は,「アーティストやレコード会社は報酬を受けるべきである」との意見を持っており,「音楽を無償で入手しようと思わない」と回答した。昨年の調査で同様の意見を述べたユーザーの割合は,わずか5%だった。

・音楽をダウンロードして無償で入手することは「道徳的にみて悪い行為だ」と考える米国人は約50%で,昨年の39%より増加した。

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