米IDCは米国時間6月19日に,ホットスポット市場について最新調査の結果を発表した。それによると,Wi-Fiアクセス・ポイントとユーザー数が世界的に増加しているにもかかわらず,ホットスポット市場はまだ成長のごく初期段階にあるという。長期的なユーザー確保は,ネットワーク・インフラの構築よりはるかに困難だということが明らかになった。

 「ホットスポットについては,まるで成功が約束されているかのように言われているが,同市場は依然として未成熟で,不確実な部分が非常に多いことを念頭に置く必要がある。ほとんどの事業モデルはまだ実証も,具体化されてもいない。また,競争状況も把握しづらい。Wi-Fi市場の展望を実現するには,更なる努力が必要だ」(IDC,無線事業ネットワーク・サービス・プログラム担当リサーチ・マネージャのKeith Waryas氏)

 IDCは,ホットスポット市場が今後5年で二つの局面を迎えるとみる。まず最初の2年間は,ホットスポット数とホットスポットのユーザー数が爆発的に伸びる。次の3年間は,電話会社とネットワーク事業者,サービス・プロバイダが互いに密接な関係を築く。5年間で,世界の商用ホットスポット数は年平均約57%で増加し,ユーザー数は2500万人近くに達するとみる。

 しかし,慎重な検討が成されないまま,ホットスポットの導入が激増するため,多数のホットスポットは十分に活用されない可能性が高い。

 長期的な成功のカギを握る要素は,ネットワーク間のローミングや提携だ。有線および無線の電話会社が,Wi-Fi事業にどの程度比重をかけるかということも大きな影響を与える。

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