米Handspringは,同社携帯端末の新シリーズ「Treo 600」を米国時間6月18日に発表した。同シリーズは,従来のモデルよりも小型化され,より携帯電話機のデザインに近づいている。QWERTYキーボードを装備し,Palm OSをベースとするオーガナイザ,メッセージング,電子メール,インターネット・ブラウジング機能が利用が可能。Treo 600シリーズは,米ニューヨークにて今週開催される「CeBit America」にて発表される。出荷は2003年第3四半期を予定している。

 同シリーズの製品は,格段にサイズを縮小しているが,キーボード設計の改善によってダイヤル,メッセージと電子メッセージの送信が容易になっている。同シリーズのキーは,盛り上がったドーム型の形をしており,既存のTreo製品のキーよりも表面積が広く,配置の工夫により操作しやすくなっている(同社)。

 ユーザーが行なったテキスト入力の速度と正確さのテストでは,Treo 600は加RIMの「Blackberry」キーボードと同レベルの水準に達した。Palm OS搭載PDAに多く見られる手書文字認識技術「Graffiti」や携帯電話のT9方式の文字入力よりも格段に速かった。

 Treo 600製品は,ARMプロセサ,Palm OS 5を搭載する。グラフィックを多用するアプリケーション,大規模なデータベース管理,音声,ビデオ再生といったマルチメディア機能で優れたパフォーマンスをみせる。5方向のナビゲーション・システム(上,下,右,左,中央)がソフトに統合されているため,片手で簡単に操作できる。データ入力以外にもQWERTYキーボードを使って,電話番号,アプリケーションの起動,アプリケーションにおける特定の機能(特定のWebページの表示や電子メール・アドレスの記入など)を26のキーに割り当てが可能。

 そのほかにも,Webブラウザ「Blazer」,企業イントラネットへの安全なアクセス,MP3や無線ネットワーキング・ソリューションなどサード・パーティ製MMCソリューション向け拡張スロット,ビルトインのVGAカメラ,2重スピーカ構造などを提供する。CDMAやGSM/GPRS機能の搭載は,製品のバージョンによって異なる。通話可能な時間は,前モデルの4時間半から6時間に拡大された。

 同社は現在,北米のSprintや欧州のOrange S.Aといった大手無線通信事業者との協調を通じて製品をカスタマイズしている。

 Treo 600シリーズの製品の価格は明らかにされていないが,400~500ドルの間で設定される予定。無線機能搭載のTreo製品ユーザーに対しては,アップグレード価格が用意される。同製品の詳細は同社Webサイトに記載される。同サイトにてTreo 600製品に関するニュース・メールの受信登録もできる。

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