米Gartnerは,ERPソフトウエアの世界市場に関する調査結果を米国時間6月18日に発表した。それによると,2002年はERPソフトウエアの新規ライセンスによる売上高は50億ドルで,前年の55億ドルと比べ9%減少した。
しかしGartner社は,売上高が減少したとはいえ,ERPソフトウエア市場が直面するさまざまな問題を考えると,「ERPソフトウエアのプロバイダは健闘した」と述べている。
Gartner社Worldwide Software Applications Research Group担当主任アナリストのChad Eschinger氏は,「ユーザーは,ERPによって思うほど成果を上げることができなかった過去の経験から,すぐにROI(投資回収率)を見込める低価格の製品を購入するようになった。また世界経済の鈍化や,買収などによる市場の整理統合を考慮すると,市場の売上高は予想を上回っている」と説明した。また同氏は,「ユーロ相場が強かったことも,大幅な売上高減少に歯止めをかけた」とつけ加えた。
市場をベンダー別にみると,ドイツのSAPがシェアを25.1%獲得して,リードを広げた。2位の米Oracleと3位の米PeopleSoftは,ともにシェア縮小を余儀なくされたが,後続の英SAGEと,米MicrosoftのMicrosoft Business Solutions事業部門は,前年と比べてわずかにシェアを拡大した。
■ERPソフトウエア市場における上位5ベンダーの市場シェア (新規ライセンスによる売上高ベース) ---------------------------------------------------------------------- ベンダー 2002年市場シェア 2001年市場シェア (%) (%) ---------------------------------------------------------------------- SAP 25.1 24.7 Oracle 7.0 7.9 PeopleSoft 6.5 7.6 SAGE 5.4 4.6 Microsoft Business Solutions 4.9 4.6 その他 51.1 50.3 合計 100.0 100.0 ---------------------------------------------------------------------- 注:2002年は推定値 出典:Gartner社
2002年のERPソフトウエア市場は,全分野において売上高が減少した。同市場で最も優勢な財務管理分野は,前年と比べ8%減少。しかし,最も売上高が減少したのは製造と人的資源の両分野で,それぞれ前年比12%減,同10%減となった。
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