米Microsoftは,スパムを送信した企業と個人に対して米国と英国で15件の訴訟を起こした。同社が米国時間6月17日に発表した。

 米国における13件の訴訟は,同社の顧客に対してスパムを送信したと主張するもの。ワシントン州のアンチスパム法のもとに提訴した。英国における2件は,スパムのメーリング・リストにMicrosoftの電子メール・アドレスを違法に利用したとして申し立てをしている。U.K. Misuse of Computers Act of 1990のもとに提訴している。同社は,合計20億件を超えるスパム・メッセージが送信され,被告側が顧客と同社のシステムを氾濫させたと主張している。

 訴訟の内容には,被告が同社の顧客に対して虚偽で誤解しやすい件名で電子メール・メッセージを装い,実際にはポルノ画像,デート・サービス,その他のアダルト・サービスのコンテンツを送信したと訴えるものがある。また,偽のウイルス警告を装い,インターネット上での活動を追跡するプログラムのダウンロードを促した電子メールの送信者も提訴されている。ほかにも,hotmail.comやその他の送信元から送られているように送信者の電子メール・アドレスを偽った者に対しても訴えを起こしている。

 同社は,その他の業界リーダーが,スパムを世界的な問題と捉えており,技術ソリューション,業界の自主規制,法令と執行機関の協力によってのみ解消できるとの考えを明らかにしている。Redmondの同社施設で行なわれたプレス・カンファレンスにて,上席副社長兼顧問弁護士であるBrad Smith氏は,「スパム問題は増加しており,これは世界的な問題である。我々は,多面的なアプローチが必要だと考えている」と述べ,消費者をスパムから守るための協力を強化するための同社のコミットメントを再確認した。

 多面的なアプローチの一部として,同社のインターネット・サービス「MSN 8」や,リリースが予定されている「Outlook」「Exchange」のメッセージングとコラボレーション・クライアントにおいて,効果的なスパム・メール遮断機能の実装を開始している。

 また,業界の自主規制ガイドラインの開発を支援しており,他の業界リーダーとともに電子メールの送信者に向けたガイドラインの開発も行なっている。同社は,低コストで電子メールを悪用することにより,顧客や企業,ISPに多大な損害をもたらすスパム発信者の法的処罰を可能にするための規制草案を作成に協力している。

 同社は,スパムに関わる技術問題のいくつかを解決するために,Yahoo!,Earthlink,AOLといった企業とも協調している。

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