Linux普及促進を目指す非営利団体Open Source Development Lab(OSDL)は,Linuxの生みの親であるLinus Torvalds氏が同団体初のOSDL Fellowとして参加することを米国時間6月17日に発表した。同氏は,Transmeta Fellowとして在籍するチップメーカーの米Transmeta社を離れて,同団体でカーネル2.6を含めたLinuxの開発にフルタイムで従事する。

 OSDL FellowとしてTorvalds氏は,1991年にフィンランドの学生時代に作成したオープンソースのソフトウエアであるLinuxの開発を独占的に行なう。彼は,世界中に分散する何千というLinux開発チームをフルタイムで統率する。同氏は,OSDLにおいて直接コンピューティング・リソースとテスト施設をへのアクセスが与えられる。また,同ラボにおいて異なる業界の構想に向けた優先事項と方針の設定を支援する。

 「過去12年間に渡って手がけてきたことに対して,ついに正式に取りかかれる,というのはちょっと不思議な感じがする。しかし,2.6.xのリリースに備えて,完全にLinuxに集中できるというのは,道理に適っている。OSDLは,ベンダーから独立した中立的なLinux開発にとって完璧な設定である」(Linus Torvalds氏)

 OSDLは,LinuxとLinux 上で動作するアプリケーションをデータ・センター(Data Center Linux)やキャリア・クラス(Carrier Grade Linux)へ展開させることを目的として2000年に設立された。ポートランド,オレゴン,横浜にデータ・センターを持つ。Computer Associates,富士通,日立,HP,IBM,NECなどIT 業界のリーダー企業22社から支援を受けながら,独立して運営している。

 「OSDLは,企業市場でのLinux普及促進を目指している。Torvalds氏の参加決定は,同団体の使命の重要性を確認するものである。OSDLは,開発者,顧客,ベンダーが平等に参加できる唯一の団体である。同氏の展望と指導が加わり,この3つのグループすべてに対する価値が増強されるだろう」(OSDLのCEOであるStuart Cohen氏)

 ちなみに,Gartner社のDataquestの調査結果によれば,2002年において,サーバー市場全体の売上高が8%低下している中で,Linuxベースのサーバーは62%成長している。同社は,Linuxサーバーが2007年までに世界市場で15%のシェアを獲得すると予測している。

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