インターネット広告の標準策定団体であるInteractive Advertising Bureau(IAB)が米国時間6月12日に,米国におけるオンライン広告市場に関する調査結果を発表した。2002年第4四半期のオンライン広告収入は16億ドルで,前期比9%増加した。
調査は,米PricewaterhouseCoopers(PwC)のNew Media Group部門が,IABの依頼を受けて実施したもの。IABは4月に同調査の速報値を発表しているが,今回の数字は最終確定値である。4月の速報結果では,2002年第4四半期のオンライン広告収入は15億ドルだった。速報値より収入が増加したことについてIABは,「上位の広告発行社の業績が予測を上まわったため」としている。
なお,2002年第4四半期の数値が確定したことにより,2002年通期のオンライン広告の売上高は前年比16%減の60億ドルとなった。
「2002年後半のオンライン広告収入が好調だったことをうれしく思う。このデータは,今後数年間に市場が順調に成長することを示す兆候だ。ショッピング,旅行予約,情報検索などで,ユーザーがインターネットを利用する機会は増えており,広告主はこうしたユーザーとの関係を構築し,深めることで事業機会を得ようと努力している」(IAB議長兼CEOのGreg Stuart氏)
PwC社New Media Group部門ディレクタのPete Petrusky氏は,「これまで市場の停滞を引き起こしていた多数の要素にも好転の兆しがみえ始めており,全体的な広告支出がわずかながらに回復しつつある」と指摘した。
広告形態別でみると,キーワード検索の成長がめざましく,2002年第4四半期は市場の売上高全体の21%を占めた。2002年通期では15%を占めている。
■2002年通期の米国オンライン広告市場,形態別売上高のシェア 2001年 2002年 バナー 36% 29% スポンサシップ 26% 18% 求人広告 16% 15% キーワード検索 4% 15% WWWページの掲載枠 8% 8% 出典:IAB
価格システム別では,1000部当たりの掲載料金を設定するCPMモデルが最も多く,全売上高の45%を占めた(ただし前年は48%)。広告のクリック回数に応じて料金を徴収するPay-for-Performanceモデルのシェアは21%(前年は12%)。CPMとPay-for-Performanceを組み合わせたモデルのシェアは34%(前年は40%)だった。
またIABは,「数社が売上高を修正報告したため」(IAB),2001年通期と2000年通期のデータ変更を明らかにした。2001年通期のオンライン広告収入は71億3400万ドルに,2001年通期のオンライン広告収入は80億8700万ドルとなる。
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