米IDCは米国時間6月12日,MP3ファイル圧縮技術に対応したオーディオ再生装置の世界市場についての調査結果を発表した。市場は,今後5年間に平均成長率(CAGR)30%で拡大し,2007年には売上高が440億ドルに達するとみる。

 現在,MP3音楽を再生できる装置は,家庭のステレオやカーステレオ,DVDプレーヤ,ビデオゲーム機などさまざまだ。フラッシュ・メモリーやハード・ディスク装置(HDD)を備えるポータブル・プレーヤは,デジタル音楽ファンの関心を集めているが,市場の今後の成長を支えるのは,二次的機能として圧縮オーディオ再生機能を備えたそのほかの製品だ。フラッシュ・メモリーやHDDを内蔵したポータブル・プレーヤ以外の分野は,2007年に売上高が280億ドルを上回り,市場全体の約3分の2を占めるようになる。

 IDC,Consumer Devices and Technologies研究部門上級アナリストのSusan Kevorkian氏は,「『Rio』や『iPod』といった製品のデザインとイメージによって,MP3プレーヤへの関心が大幅に高まった。しかし,消費者の購買意欲を駆り立てるのは,音楽が聞きたいという欲求だ。最先端のデバイス技術や流行デザインだけに心を動かされるわけではない。価格や機能のほか,消費者がデバイス技術、パソコンやインターネットとの接続に精通しているかが,購入決定の鍵となる」と分析する。

 その他の主な調査結果は以下の通り。

・フラッシュ・メモリーの1Mバイト当たりの価格は下落し続けている。これが,フラッシュ・メモリー対応ポータブル・プレーヤ分野の成長を後押しする。同分野は2007年まで年間平均24%で成長する。

・HDD内蔵ポータブル・プレーヤ分野は,HDD部品の価格が下がらないため,急速な成長は見込めない。2007年までデバイス価格が200ドルを大幅に下回ることはない。

・無料のオンライン音楽配信サービスや著作権保護されていないCDは,今後もMP3プレーヤを利用する消費者の主要なデータ源となるだろう。しかし,デバイス・メーカーが有料音楽配信サービス・プロバイダと提携し,利用しやすく包括的な音楽を提供することは,双方にとって有益だ。また,新しいユーザーが合法的なオンライン音楽配信サービスを利用する傾向を促進することになる。

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