米J.D. Edwardsは,同社と米PeopleSoftの合併計画を米Oracleが妨害しているとして,Oracle社をコロラド州の裁判所に提訴したことを,米国時間6月12日に明らかにした。

 J.D. Edwards社はこの訴訟で,実質損害に対する賠償と懲罰的損害賠償金17億ドルを請求している。

 J.D. Edwards社はまた,カリフォルニア州の裁判所に,Oracle社および同社会長兼CEOのLarry Ellison氏と同社執行副社長のChuck Phillips氏を提訴する。J.D. Edwards社の主張は,Oracle社と両氏が,不当な経営と不正な事業慣習を実行しているというもの。J.D. Edwards社は,Oracle社がPeopleSoft社買収計画を中断するよう処分を求めている。

 J.D. Edwards社会長,社長兼CEOのBob Dutkowsky氏は,「Oracle社の目的はただ1つ,J.D. Edwards社とPeopleSoft社の主要株主にとって価値の高い両社の合併を破壊することだ。Oracle社の買収提案は,我々2社の株主,顧客,社員,そして技術業界全体が受けるべき利益を損なわせるものである。Oracle社のこの傲慢で非合法的かつ有害な一連の行為に対して,黙っているわけにはいかない」と述べた。

 なお,前日の6月11日,PeopleSoft社はOracle社に対する提訴を取りやめたことを,Oracle社に伝えている。PeopleSoft社顧問弁護士が事前にOracle社に通告していた内容によると,PeopleSoft社はOracle社の敵対的買収計画の仮停止処分を求めて,アラメダ郡上位裁判所へ訴える予定だった。

 事の発端は,Oracle社が6月6日,PeopleSoft社の株式を1株につき16ドル(総額は約51億ドル)の現金で買い取る計画を発表したこと(Oracle社のプレス・リリース)。PeopleSoft社は6月2日に,米J.D. Edwardを総額17億ドルで買収すると発表したばかりだった。

 Oracle社の買収提案に対し,PeopleSoft社社長兼CEOのCraig Conway氏は,「極悪非道な行為の歴史を持つ会社による暴挙」と激しく批判する声明を6月6日に発表している(PeopleSoft社のプレス・リリース)。

 週明けの6月9日に,Oracle社は「話し合いの機会を持ちたい」とする書簡をConway氏に送り,あわせて公開買付の開始を通知した。その際,Dutkowsky氏は,「Oracle社の敵対的買収提案は,少なくとも主要競合社を1社排斥することになる。これは,ビジネス・ソフトウエアの顧客の選択肢を著しく狭めるもので,米国と欧州の独占禁止法に抵触する可能性がある」と激しく非難した。なお同氏は,「Oracle社の買収計画は,J.D. Edwards社とPeopleSoft社の合併になんら影響を及ぼさない」と述べている。

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