米PeopleSoftが米Oracleの提訴を中止した。Oracle社が米国時間6月10日に,PeopleSoft社から通知を受けたとして明らかにしたもの。PeopleSoft社はOracle社の敵対的買収計画の仮停止処分を求めて,アラメダ郡上位裁判所へ訴える予定だった。

 事の発端は,Oracle社が6月6日,PeopleSoft社の株式を1株につき16ドル(総額は約51億ドル)の現金で買い取る計画を発表したこと(Oracle社のプレス・リリース)。PeopleSoft社は6月2日に,米J.D. Edwardを総額17億ドルで買収すると発表したばかりだった。

 Oracle社の買収提案に対し,PeopleSoft社社長兼CEOのCraig Conway氏は,「極悪非道な行為の歴史を持つ会社による暴挙」と激しく批判する声明を6月6日に発表している(PeopleSoft社のプレス・リリース)。

 週明けの6月9日に,Oracle社は「話し合いの機会を持ちたい」とする書簡をConway氏に送り,あわせて公開買付の開始を通知した。Oracle社は同書簡の中で,「当社を提訴する意向があるとのPeopleSoft社のプレス・リリース,ならびに通知を読んだが,そのような行為は,PeopleSoft社自身を不利な立場に追い込み,当社の提案がもたらす利点と恩恵を逃すことになるだろう。PeopleSoft社は,株主への信用義務として,誠意を持って公平な検討を行うべきだ。ただし,最終的に決断を下すのは,つまらない訴訟ではなく,PeopleSoft社の株主である」(Oracle社会長兼CEOのLawrence J. Ellison氏)と記している。

 今回,PeopleSoft社が提訴を取りやめたことを受けて,Oracle社執行副社長のSafra Catz氏は「やがてPeopleSoft社役員会が当社の提案について話し合う気になるだろうと期待している」と述べた。

 なお,PeopleSoft社は6月11日に,J.D. Edwards社を買収する意向を,米司法省と米連邦取引委員会(FTC)に正式に申請した。

◎関連記事
米Oracle,米PeopleSoftの株式公開買付を開始
米PeopleSoft,米J.D. Edwardsを約17億ドルで買収
米PeopleSoft,中小企業向けにビジネス・プロセスの自動化とコスト低下を実現するソリューション・セットを発表 
米PeopleSoft,企業向けアプリケーションのLinux対応で米IBMと提携
米Oracle,CRMスイートに企画書作成ソフトを追加
「企業向けアプリケーション市場は2006年に700億ドル規模」,米AMRの調査
「今後6~12カ月の 企業のIT支出は平均2.7%増加」,米アバディーンの調査

[発表資料(1)]
[発表資料(2)]