米Janco Associatesは米国時間6月11日に,IT業界の給与に関する調査結果を発表した。それによると,過去4四半期にわたって継続していたデフレ的悪循環が,ようやく終わりそうだという。イラク戦争の終結後,給与の減少に歯止めがかかり,なかには新規採用を計画中の企業もある。

 「経験を積んだ上級職を採用しようとする動きがみられる。とりわけ5年以上の経験を持つ人材の需要が高まっている」(Janco社CEOのVictor Janulaitis氏)

 2003年第2四半期における大企業の平均年収は8万30ドルで,2002年第4四半期の7万8687ドルから上昇している。同期間における中規模企業の平均年収は,7万2619ドルから7万5769ドルへと推移した。また,CIOの平均年収は下降を続けていたが,ここにきて1998年レベルに安定しつつある。

 その他の主な調査結果は次の通り。

・研修,企画,インフラ関連の人員を削減した企業の中には,わずかながらも人員補充を行う企業がでてきた

・企業内における,音声/無線コミュニケーションとセキュリティ関連の職種の地位が上がりつつある。2000年以前は,下~中レベルの職種と見なされていたが,2003年は中~上級レベルの職種へと変わりつつある

・企業が次世代無線技術の導入に備えようとしていることから,電子商取引,音声/無線コミュニケーション,オブジェクト指向プログラミング,データ・セキュリティ,データ・ウエハウジング関連の,インターネットとネットワーク技術に精通した人材の需要が増えている

・過去2年間に退職手当が減少していることから,2003~2004年に退職を検討していた社員は,決断を先送りにしている。またこれらの社員の多くは,給与の増額を要求するよりも,職にとどまることを重要視している

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