米AOL Time WarnerのAmerica Online(AOL)は,同社が今夏リリースする「AOL 9.0」のセキュリティ強化点を,米国時間6月9日に発表した。「適応型スパム・フィルタリング,カスタマイズ可能なファイアウオール,高度なウイルス・スキャン,子供のネット利用を管理する機能の強化などを通じて,会員が安全に広帯域接続を行えるようにする」(AOL社)

 同社はこれらセキュリティ・サービスを,DSLやケーブル接続を行うAOL会員に無償で提供する。個別に購入した場合は,「月額17ドル相当のセキュリティ・サービスになる」(同社)という。AOLのバンドル・サービスや,コンテンツ利用のみのサービス「BYOA(bring your own access)」の会員も利用できる。

 AOL社Integrity Assurance部門担当上級副社長のTatiana Gau氏は,「当社のブロードバンド・サービス『AOL for Broadband』を利用しない広帯域接続は,シートベルトをせずにスポーツ・カーを乗り回すようなものだ。AOL for Broadbandでは,カスタマイズ可能なファイアウオールや添付ファイルのウイルス・スキャン機能などを提供し,ユーザーが広帯域接続によるリスクを回避できるようにする」と説明する。

 AOL 9.0の主なセキュリティ強化点は以下の通り。

・適応型スパム・フィルタリング:ユーザーがどのようなメールをスパムと見なすかを自動的に学習する

・スパム・フォルダ:スパムの疑いがあるメールを,自動的に個別のメール・フォルダに分類する

・指定語句やURLを含んだメールのフィルタリング:ユーザーが指定した語句やクリック可能なURLリンクを含んだメールを,自動的にスパム・フォルダに分類する

・画像やURLの表示を遮断:見知らぬ送信者からのメールに含まれる,画像やURLの表示を遮断できる。また,送信者にメールの開封を通知する“ウェブ・ビーコン”の利用を防ぐ

・IM Catcher機能:インスタント・メッセージングのスパムである“SpIM”を遮断する。バディ・リストに登録されていない送信者からのインスタント・メッセージングについては,ユーザーが受信の可否を後ほど設定できるように,個別のリストを作成する

・カスタマイズ可能なファイアウォール:任意のファイルやデータへの外部アクセスを遮断したり,特定のアプリケーションからのオンデマンド・トラフィックを遮断する「McAfee Personal Firewall Express」を提供する

・自動ウイルス・スキャン:送受信されるすべての添付ファイルをスキャンし,感染したファイルの遮断と修復を行う。また,パソコンをウイルス感染から保護するプレミアム統合サービスを月額2.95ドルで提供する

・Parental Controls機能:子供のネット利用を管理するParental Controls機能により,子供が電子メールの送受信を行える相手や,インスタント・メッセージングの可否,アクセスできるWWWサイトなどを設定できる

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