米IBM，通信業界向けブレード・サーバーと各種製品／サービスを発表

和田英一

2003.06.04

　米IBMは米国時間6月3日に，通信業界向けのブレード・サーバー「IBM eServer BladeCenter T」を発表した。「米Intel製のプロセサを搭載し，キャリア向けLinuxを採用することで，次世代通信アプリケーションの条件を満足できる」（IBM社）とする。同社によると，同サーバーは堅牢性が高いので，航空宇宙や軍事分野の現場といった非常に厳しい環境で運用する特殊な市場にも向いているという。

　IBM社システム・グループ担当副社長のTony Evans氏は，「BladeCenter Tサーバーをリリースすることで，導入が容易で，運用コストを大幅削減できる製品を，ネットワーク事業者に提供する」と述べる。「モジュラ・アーキテクチャを採用し，迅速な導入が可能な低コスト・ソリューションを開発できた。同ソリューションは，通信業界などで要求される厳しい耐久性も備えている」（同氏）

　BladeCenter Tシステムは，Network Equipment Building System 3（NEBS 3）およびEuropean Telecommunications Standard Industry（ETSI）という認定を受ける予定という。「高温，激しい振動，落雷，浮遊物の多い環境，火災，静電気の放電に耐えるように設計する。厳しい環境に対するこうした耐久性は，ほとんど停止することの許されない無線／通信アプリケーションにとって理想的だ」（同社）

　eServer BladeCenter Tシステムは，2004年に利用可能とする予定。

　またIBM社は同日，通信業界向けの新しい製品やサービスについても明らかにした。主な内容は以下の通り。

・Open Integrated Platform for Telecommunications（IPT）：
　Linuxベースのソリューション導入を支援するプラットフォーム。IBM社やパートナ企業の各種製品，ドイツSuSE Linux AGのキャリア向けLinux，NEBS準拠のIntelベース・サーバーに，IBM社のWebSphere，DB2 Universal Database，WebSphere Application Server for Telecomなどを組み合わせる

・WebSphere Business Integration for Telecommunications：
　プロビジョニングなどの作業を自動化して作業負荷を軽減するためのフレームワークを提供する。新サービスの導入を迅速化できるという

・Public Wireless LAN Solution：
　「IBM PWLAN for Service Providers」と呼ばれるソフトウエアと，コンサルティング／インテグレーション／ネットワーク設計／導入／プロジェクト管理などのサービスを組み合わせた，公衆無線LAN（PWLAN）用ソリューション

・Cost Optimization and Strategic Transformation（C.O.S.T.）：
　コンサルティング／導入サービスに，IBM社のハードウエアとソフトウエア，IBM Business Partner製アプリケーションを組み合わせることで，ERMやSCMなどの導入／運用を支援する。同社はこの取り組みの一環として，「Customer Loyalty and Retention」と「Business Transformation Outsourcing」という2つのソリューションを提供する

・Telecommunications Data Warehouse（TDW）：
　複雑な製品構成，料金体系の変更，加入者リストの一元管理，商品の整理など，通信サービス・プロバイダの業務上の問題を解決するため，データ・モデル作成を支援する

・IBM Content Management：
　コール・センターの生産性向上と運営コスト削減に向けたソリューション。同社のDB2 Content ManagerとWebSphere Portalを使用し，分散している情報を1つにまとめる