米Gartnerが米国時間5月30日に,金融サービス業界のアウトソーシングに関する調査結果を発表した。それによると,同業界ではITアウトソーシングとビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)が最も成長の速いサービス分野という。「2002年に銀行およびクレジット業界では,アウトソーシングに関する大規模契約が8件以上締結され,契約金額は総額200億円以上になる」(Gartner社)

 Gartner社ITサービス・グループ主席アナリストのSusan Cournoyer氏は,「多くの大規模契約で重要な要素の1つは,ITインフラとその運用に着目していること」と指摘する。「大規模アウトソーシング契約の多くが,IT資産の整理/集中を世界規模で進めている。オンデマンド・モデルといった新技術や新しいビジネス・モデルを導入することで,アウトソーシング・プロバイダはITと業務の要求に対応できるだろう」(同氏)

 同社のアナリストによると,金融サービスにとってBPOは目新しいサービス分野ではないという。「BPOがこれまでのサービスと違っているのは,わずか数年前までアウトソーシングの行われなかった分野で,急速に普及しつつある点だ」(同社)。同社では「その影響で,契約数増加と範囲拡大が進み,市場規模が拡大している」とみる。

 「金融サービス業界では価格に対する意識が高いので,ITサービス購入時の決定理由として,ほかの業界よりもコストを重要視する。さらに金融サービス業界のIT購入担当者は,業界に対する知識も重視している」(Cournoyer氏)

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