米Gartnerは米国時間5月28日,世界ストレージ管理ソフトウエア市場に関する調査結果を発表した。それによると,2003年の同市場は48億ドル規模となり,前年の47億ドルから2.9%程度の成長にとどまる見通しだ。Gartner社は「厳しい経済状況や競争の激化を反映して,ソフトウエア・ベンダーが価格の低下を余儀なくされているため」と説明する。

 Gartner社Storageグループ担当副社長のCarolyn DiCenzo氏は,「ストレージ管理ソフトウエア市場は,売上高が予測を下回った昨年に引き続いて,苦戦を強いられるだろう。イラク戦争は終息しつつあるが,政治的な不透明感は継続しており、アジア地域ではSARSによる影響を受けている。市場は徐々に回復しているが,そのペースは期待よりはるかに遅い」と述べた。

 2003年に市場をけん引するのは,企業向けストレージ・リソース管理(SRM)分野となる。直接接続型ストレージからSANやNASなどのネットワーク接続型ストレージへの移行が進み,ストレージ管理が複雑化していることから,SRM分野は2003年に11.3%成長する。

 「SAN管理ツールは今年,大きく成長するだろう。しかし,より視覚的かつ自動的にストレージ資産を管理するツールの普及が本格化するのは,ツールの堅牢性が向上してからになる。また,マルチメディアの多用によってファイル容量が大きくなると,新しいファイル・システムや複製技術に対するニーズが,新たな市場を創出するだろう」(DiCenzo氏)

 なお同氏によると,2001年~2002年かけて経済が減速していることから,企業の研究開発費が不足している。このため,新しいアイディアの製品化と新製品の市場投入に遅れが生じる見通しだという。

◎関連記事
2002年のストレージ管理ソフト市場は初のマイナス成長,前年比6%減で47億ドル規模
「ストレージの“バーチャリゼーション”は広がっている」と米国ベンダー幹部
「ストレージ製品は高すぎる,運用コストはもっと高すぎる」,米データコアCEO
「SAN機器の世界市場,2007年には10倍以上の840億ドル規模へ」,米調査
「2005年には外付けストレージの80%がネットワーク化」と米ガートナー
NAS(ネットワーク接続型ストレージ)市場---大手メーカーの新規参入相次ぐ,価格競争がますます激化
タイトル
「2002年Q4の世界ストレージ・システム市場は前期比12%成長」,米IDCの調査

[発表資料へ]