米Adobe Systemsは米国時間5月26日に,PDF(Portable Document Format)ファイル作成ソフトの新版「Adobe Acrobat 6.0」を出荷開始した。同バージョンより,ユーザーのニーズに合わせて「Acrobat 6.0 Professional」「Acrobat 6.0 Standard」「Acrobat Elements」の3種類を用意する。

 Acrobat 6.0 Professionalを「最も包括的な高機能版」(Adobe社)と位置づける。企業,エンジニア,建築家などが,グラフィックを多様した複雑なPDFファイルを作成し,共有,閲覧できるようにする。Acrobat 6.0 Standardは従来製品の後継版となる。XMLを利用してデータベースとやりとり可能なPDFファイルを作成できる。Acrobat Elementsは大量導入向けの簡易版。1000ライセンス単位のボリューム販売を行い,「企業のすべてのデスクトップ・パソコン上にAdobe PDF作成機能をもたらす」(Adobe社)。

 Adobe社はまた,同社が無償で提供する閲覧ソフトの新版「Adobe Reader 6.0」を同日発表した。これまでの名称である「Acrobat Reader」を変更し,同社の「PhotoShop Album」で作成したスライドショーや,電子書籍を閲覧する機能を追加した。Adobe Reader 6.0は同社WWWサイトからダウンロードできる。

 Acrobat 6.0 Professionalは,Windows NT Workstation 4.0(サービス・パック6),Windows 2000 Professional(サービス・パック2),Windows XP Home,Professional,Tablet PC Editions,Mac OS X v10.2.2に対応する。Acrobat 6.0 Standardはこれらに加え,Windows 98 Second Editionをサポートする。英語版は既に出荷を開始しており,日本語版は7月始めに入手可能となる予定。

 Acrobat 6.0 Professionalの希望小売価格は449ドル。Acrobat 6.0 Standardは299ドル。「Acrobat 4.0」と「同5.0」ユーザーは,149ドルでAcrobat 6.0 Professionalに,99ドルでAcrobat 6.0 Standardにアップグレードできる。

 Acrobat Elementsは,Windows 98 Second Edition,Windows NT Workstation 4.0(サービス・パック6),Windows 2000 Professional(サービス・パック2),Windows XP Home,Professional,Tablet PC Editionsに対応する。Adobe社のライセンシング・プログラムを通じてのみ入手可能。1000シート・ライセンスの場合,1シート当たり28ドルからとなる。

 Adobe社はさらに,PalmOS対応版の無償閲覧ソフト「Adobe Reader for Palm OS 3.0」を発表した。対応デスクトップOSはWindows 98,Windows NT 4.0,Windows ME, Windows 2000,Windows XP,Mac OS X v10.2.2。Palm OSはバージョン3.5,4.0,4.1,5.0をサポートする。現時点では英語版のみの提供となるが,日本語を含むその他の言語にも年内に対応する予定。

 またAdobe社は,Acrobat 6.0,Adobe Reader 6.0,Adobe Reader for Palm OS 3.0 が,米Electronic For Imagingの無線ネットワーク「PrintMe」対応となったことを明らかにした。ユーザーは,複雑なネットワーク設定やケーブル接続を行わずに,ノート・パソコン,デスクトップ・パソコン,モバイル機器から,印刷やファクス送信が可能となる。

 なお米RSA Securityは同日,Adobe Acrobat 6.0がRSA社のデジタル認証管理ソフト「RSA Keon」対応であることを認定した。RSA Keonを利用して,PDFファイルの暗号化や電子署名の利用が可能となる。

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