米INPUTは米国時間5月22日に,米連邦政府のITセキュリティ予算に関する調査結果を発表した。それによると,2003年度の同予算案は42億ドルだが,その後,年平均7%増加し,2008年度には60億ドル近くに達する。

 INPUT社アナリストのPayton Smith氏は「2001年の同時多発テロ事件以降2年間で,連邦政府のITセキュリティ予算は200%以上増加した。この爆発的な増加を経て,予算増加率はより通常のレベルに戻りつつある」と説明した。しかし「政府はインフラ保護とセキュリティ計画の導入に関して,依然として多くの問題に直面しているため,この分野のサポートを手がけるベンダー各社への依存度はいまだに高い」(Smith氏)。

 調査によると,ITセキュリティ製品およびサービスへの投資額が最も高いのは,米国議会と行政管理予算局(OMB)だ。「OMBと議会が毎年セキュリティに関する見直しを実施していることで,政府機関内のセキュリティ強化はいくらか前身をみせている。しかし,リスク評価,セキュリティ計画,認証の面では不十分な点が多々残っている」(Smith氏)
 
 また,政府機関全体にわたるセキュリティの取り組みで調整役となっているのは国土安全保障省であることも,調査で明らかになった。政府機関内の一部の最重要セキュリティ組織にとっては,DHS Directorate for Information Analysis and Infrastructure Protection(情報分析およびインフラ保護のDHS理事会)が新たな拠点となっている。しかしSmith氏は,「DHSが新たなリーダー役を務めているにもかかわらず,特定政府機関のシステム保護の決定権は,依然として各当局に委ねられるだろう」と述べた。

◎関連記事
IT支出の引き締めが続く大企業,2003年のIT支出は0.2%減,回復は2004年から
「米連邦政府の2004年度IT予算は前年度比約14%増」,米INPUTの調査
「製造業界の2003年IT予算,最優先はセキュリティ分野」,米調査
「セキュリティ意識向上でスマート・カード市場は2けた成長が続く」,米社の調査
戦後に備えるアメリカ――“ハイテク・セキュリティ”は万全なのか
2003年の世界IT支出は前年比4.9%増の2兆ドル強,あらゆる業界で成長
「ITセキュリティ市場は2006年には450億ドル規模に」――米IDCの調査
「米国公共事業業界のIT支出額,年率5.3%増で2007年には200億ドル規模に」,米IDC調査

[発表資料へ]