米IBMは米国時間5月21日,新たな法人向けデスクトップ・パソコン「ThinkCentre S50」「同M50」「同A50p」を発表した。パソコンの設定や保守を簡素化するソリューション「ThinkVantage Technologies」を採用しており,「企業のシステム運用コスト削減と生産性向上を支援する」(IBM社)としている。

 ThinkVantage Technologiesは,無線ネットワーク導入やセキュリティ強化などに伴うパソコン設定および管理の手間を削減するためのハードウエアとソフトウエアからなる。データやアプリケーションの復旧を行うためのソフトウエア「Rapid Restore Ultra」などが含まれる。

 ThinkCentreは,米Intelの「Pentium 4」プロセサが備える「Hyper-Threading Technology」の機能を最大限引き出すように設計したという。Hyper-Threading Technologyはプロセサの命令をスレッド・レベルで並列処理する技術で,1つのプロセサを論理的に2つのプロセサとして扱う。

 ThinkCentreのきょう体は工具を必要としない構造になっており,ハード・ディスク装置やメモリーなどの部品をユーザー自身が容易に取り替えることが可能。例えばハード・ディスク装置を囲む「キャディ」は工具やドライバを使わずにハード・ディスク装置を固定できる上,ゴム製のクッションで振動を緩和する。パソコンの拡張が簡単で,作業のためにシステムを停止している時間も短くて済む。そのため「サポート関連のコストを抑えることができる」(IBM社)。

 ThinkCentreの全モデルは,管理者が各パソコンのソフトウェアのインストール状況を把握するためのイメージ管理技術「ImageUltra」に対応する。また,「Access IBM」ボタンを備えており,修復ツールといったパソコン内にある機能にアクセスしたり,インターネットを介して顧客サポートやアップデート・サービスに接続することが可能。

 一部のモデルでは,セキュリティ・チップと「Client Security」ソフトウエアを組み合わせたセキュリティ・ソリューション「Embedded Security Subsystem」を組み込む。

 ThinkCentre S50は,幅12.2インチ(約31cm),奥行き14.1インチ(約36cm),高さ3.3インチ(約8cm)で,従来のIBM社製デスクトップ・パソコンと比べて62%小さいという。同M50は,米Red Hatまたは独のSuSE Linuxのデスクトップ用Linuxをサポートする。同A50pは,各種の光学ドライブ,ビデオ・グラフィックス・アダプタから選択できる。

 3モデルとも,直ちに出荷を開始する。価格はThinkCentre S50が729ドルから,同M50が979ドルから,同A50pが699ドルから。

 なお,IBM社は今年中に中小企業向けの廉価モデル「A30」をリリースする計画である。価格は469ドルから。

 またIBM社はThinkCentre向けの「ThinkVision」モニターも同日発表した。17インチのフラット・パネルLCDモニター「L170」と「L170p」はすでに購入可能。価格は499ドルと539ドル。17インチのCRTモニター「C170」と19インチのCRTモニター「C190」は6月初旬の出荷を予定しており,価格はそれぞれ189ドルと249ドル。

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