米Visant Strategiesは米国時間5月20日に,高速無線ブロードバンド技術に関する調査結果を発表した。それによると,高速無線機能を備えるノート・パソコンやデスクトップ・パソコンの増加により,WiFi市場は2004年後半に急速な発展を遂げるという。また,802.16a標準に対応した装置の売上高は,2008年に約10億ドルに達する見込みだ。

 802.16aは,WiFi技術の発展形と目される期待の技術で,ケーブルおよびDSLの最後の1マイルに無線高速接続を提供する。サービスが提供可能な範囲は直線距離にして約50キロ。最高70Mbpsのデータ転送速度を提供する。基地局の一部を使って,T1型の接続で同時に60を超える企業に対応できる帯域幅を提供する。DSL型の接続では数百世帯に対応できる。

 Visant社は,現在の802.16aの状態を,「1990年代末の無線LAN技術と同じ」と評価する。1990年代末,802.11の費用対効果が向上するとともに,無線LANはニッチ市場から大衆市場へと拡大した。

 Visant社アナリストのAndy Fuertes氏によると,「現状に基づいた見通しでは,802.16aは今後数年間,802.11と同様の上昇線を描く」という。「多数のチップ・メーカーや装置メーカーが,802.11市場への早期参入の機会を逸した。装置コストが高く,潜在ユーザーが非常に少なかったためだ。また,当時はインターネットもイントラネットも今ほど普及していなかった。802.16aは,こうしたメーカーに,もう一度チャンスを与えてくれる」(同氏)

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