米Gartnerは米国時間5月20日,世界半導体市場に関する調査結果を発表した。2003年第1四半期の市場は,前期と比べて約3.5%縮小したものの,3月に予想を上回る好調な売上高を示し,比較的堅調に推移した。Gartner社世界半導体グループ調査バイス・プレジデントのRichard Gordon氏は,「第2四半期にはプラス成長に転じる」と予測する。

 Gartner社によると,2003年の市場は,2002年の1550億ドル規模から8.3%増の1680億ドル規模に拡大する見込みだ。

 しかしこれは,同社が2003年第1四半期中に発表した「成長率8.9%」という見通しを下方修正する形となった。米メディアの報道によると,同社のアナリストは「2002年の売上高の最終データと2003年第1四半期の業績に基づき,当初の予測を再測定した」と説明している。再測定により,同社は2002年の世界半導体市場の総売上高を1534億ドルから1550億ドルに修正した。

 2003年に大幅な成長が見込めるのは,デジタル式携帯電話やフラット・パネル・ディスプレイ,デジタル・ビデオ家電だ。携帯電話向けアプリケーションは引き続き半導体業界を牽引し,メモリー,デジタル信号プロセッサ・ベースのIC,CMOSイメージ・センサーなどの分野が市場平均を上回る成長となる。また,LCDドライバや特定用途の消費者家電製品も好調とみる。

 しかし,企業はまだIT投資の決定を下すほど確信を持っていないため,パソコン買い替え時期をいつ開始するかについては慎重な姿勢を取っている。「世界のマクロ経済を悩ませてきた地政学的な不安感がイラク戦争の終結で緩和し,SARSの発症も以前よりコントロールされてはいるが,2003年後半の半導体需要のレベルは依然として予想がつきにくい」(同氏)

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