オーストラリアのSharman Networksは,同社のファイル交換ソフトウエア「KaZaA Media Desktop(KMD)」のユーザーに,ウイルス防止機能「BullGuard Lite」をオンにするよう現地時間5月15日,呼びかけた。BullGuard Liteは無償で入手できるKaZaA向けアンチウイルス・ソフトウエアで,「新種のワーム『Fizzer』を防止できる」(Sharman社)としている。

 Fizzerは主に,電子メールとオンライン・チャット・ルームを利用して感染を広げる。Fizzerを実行すると,パソコン内のアドレス帳などから電子メール・アドレスを収集し,そのアドレスすべてにFizzerを添付した電子メールを送信する。メールの件名や本文,添付ファイル名は,Fizzerが持つリストからランダムに選択する。差出人アドレスは詐称することがある。Fizzer自身がメール送信機能を備えるので,使用している電子メール・ソフトによらず,ウイルス・メールは送信される。

 FizzerはKaZaAも利用する。具体的には,FizzerをKaZaAの共有フォルダにコピーする。Fizzerを実行したユーザーがKaZaAを使用している場合には,他のKaZaAユーザーがFizzerを“共有”する恐れがある。

 しかし,ほとんどのウイルス対策ソフトがFizzerに対応済みである。最新のウイルス定義ファイルにアップデートしていれば検知できる。

 「BullGuard Lite機能をオンにしていれば,KaZaAユーザーはFizzerなどのワームやウイルスから保護される。BullGuard Liteは最新のウイルス定義でアップデート済みだ」(Sharman社技術ディレクタのPhil Morle氏)。なお,BullGuard LiteはKaZaAでのみ有効。他のPtoPソフトウエアを用いたダウンロードなど,KaZaA以外のチャネルを通じた電子メールの送受信,インスタント・メッセージングでは機能しない。

◎関連記事
新種ウイルス「Fizzer」をIPAが警告,ただし基本的なウイルス対策で防げる
「メール本文を開くだけで感染するウイルスに注意」――IPA
「ウイルスに狙われるファイル共有サービス,設定を見直せ」――IPAが警告
米CERT/CCが「Deloder」ワームを警告,“弱い”パスワードのWindowsマシンが侵入される
「ネットサーフィンでもウイルスに感染する」――IPAが警告
「1月はSQL Slammerが話題だったが,ワースト1は相変わらずKlez」――IPA
IPAが2002年のウイルス届け出を集計,Klezが1万件弱で史上最悪
IPAがコンピュータ・ウイルスの“年末警報”,メールの添付ファイルには十分注意

[発表資料へ]