米In-Stat/MDRはホットスポット市場に関する調査結果を,米国時間5月14日に発表した。それによると,世界におけるホットスポットの数は過去3年間で急激に増加している。しかし,ホットスポット1カ所当たりの利用者数や,1日当たりの利用者数は伸び悩んでいるという。

 「ホットスポット利用者が思ったほど増えていないのは,消費者の認識の低さ,対象ユーザーが明確でない場所への設置,消費者の期待する料金と既存の料金体系のギャップなど,複数の要因が挙げられる。料金の見直しなどを行うプロバイダもいるが,課題はまだたくさんある」(In-Stat/MDR社上級アナリストのAmy Cravens氏)

 このような状況から,ホットスポット市場への参入に慎重な企業が多い。一方,すでに市場に参入済みの固定回線事業者やモバイル事業者は,ホットスポット分野に本格的に取り組むことは躊躇しているものの,試験的なサービスを提供するなど,収益機会を模索している。

 In-Stat/MDR社は,「無線LANと第2.5世代/第3世代サービスがどのように融合するのか明確な見通しが立っていないことも,プロバイダの足並みが揃わない一因だ」(同社)としている。

その他の主な調査結果は次の通り。

・ホットスポットの卸売りなど,新しい導入方法が続々と登場している。北米では米AT&T,米Intel,米IBMが共同設立した米Cometa Networksが,ホットスポットの設置を精力的に進めている。また英国では,スウェーデンのEricssonなどが,ホットスポット・ネットワーク「The Cloud」の構築を計画しており,ホットスポットのサービス提供エリアは一気に拡大する見通しだ

・ホットスポット市場にはさまざまな課題が残っている。しかし,無線LANの認知度向上,無線LAN対応ノート・パソコンの増加,無線LAN規格の標準化など,市場拡大を後押しする動きもある。世界における有料ホットスポットの設置個所は,2002年の1万2235カ所から,2007年には14万5417カ所へ増加する

・ホットスポットの導入は今後もカフェが中心となる。次いで,ホテルでの設置が進む

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