「米Intel,フィンランドNokia,ソニーなど数10社の世界的ハイテク企業がRosettaNet標準を導入しており,普及のクリティカル・マスに達した」。企業間電子商取引(BtoB)の普及促進を図る民間団体RosettaNetが米国時間5月12日に,RosettaNet標準の導入状況に関する調査報告書「2002/2003 Annual Summary Report」を発表したもの。同報告書は,WWWサイトで入手できる。

 報告書によると,2002年においてRosettaNetの導入企業は270%以上増え,1社当たり平均53社の取引先と接続しているという。特にアジア地域で普及への取り組みが活発で,たとえば2003年には政府による導入奨励金が5100万ドルに上った。また同地域では2002年にマレーシア,2003年にフィリピンといった具合に,RosettaNetの地域組織も次々と発足している。

 主なハイテク企業の取り組み状況は以下の通り。

・Intel社:2006年までに全社的なEDI業務プロセスを導入し,その中核にRosettaNet標準を据える計画。現時点では,同社のBtoB統合の標準としてRosettaNetを導入しており,17カ国の89社ある取引先と接続している。2002年における売上高と物品購買の10%以上は,RosettaNet標準を使って処理したという。処理した金額は顧客の注文のうち30億ドル以上,物品購入のうち20億ドル以上に達し,11年間で約7倍に増加した。

・Nokia社:RosettaNetを導入してシステムを統合し,1時間に1000万個以上の部品処理を自動化した。現在,供給/委託製造/物流/顧客など同社の主な事業部門でRosettaNetを実際に運用している。

・ソニー:2002年にRosettaNet標準を使用してベンダー90社と接続し,VMI(Vendor Managed Inventory:部品供給メーカーが顧客の在庫を管理する手法)システムに集約した。EDIをRosettaNetに移行させる計画で,当初は大量生産製品の調達から対応を実施し,最終的には全事業でRosettaNetを導入する。

 なおRosettaNetのSemiconductor Manufacturing Board(半導体製造委員会)は,2002年にForecasted Inventory Management(予測在庫管理)分野を重点テーマとする活動目標を掲げていた。2003年は,保証管理/販売報告/支払い/請求/材料組成/サード・パーティ物流を中心に,適用分野を広げるとしている。

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